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石田明生

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ラストスパート
 七月も半ばを過ぎた。今学期もあと二週間程で終わる。真に今はラストスパートというところだ。試験問題作成、最後の最後に遺漏があってはまずいので丹念な授業準備、毎日がまるで自転車操業のようだ。だから、聖ジュヌヴィエーヴの続きがまだ終わらない状態だ。
 あとひと月したら、フランスに行っているはずだ。今年は、まずグルノーブルに行こうと思う。新婚旅行で行って以来だから、三十何年ぶりだろう。その時と同様、シャンベリーにも行ってみたい。だから、今年のテーマはスタンダールとジャン・ジャック・ルソーということになる。二人のふるさとを二人よりも歳をとってから訪ねることになるが、何かを感じたい。
 何かを感じられればいいのだが・・・

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日常スケッチ | 16:54:55 | Trackback(0) | Comments(0)
聖女ジュヌヴィエーヴのメダル(3)
抵抗の町(2)

 翌日、町は不安を抱えたまま目を覚ましました。人々は、町中から郊外から、四方八方からやって来て情報を知りたがりました。普段住民たちの集会場になっている聖母マリア教会堂前の広場、そこは総督の宮殿の向かいでもありましたが、その広場はやがて町中の住民でいっぱいになりました。
 露店は閉められ、酒場も空っぽでした。どの人の顔も苦渋に満ちていました。たまたまレギオン隊の兵士が広場を通りかかると、みんなは彼を質問ぜめにしました。された方はのらりくらりと返事をしていましたが、密かに味わっている恐怖を分かち合う市民に対してやせ我慢の強がりをしようなどとは思いもよらないことでした。
 住民たちの中には、夜のうちに町に入って来た戦場からの避難民がいましたが、彼らは、目撃したことを語って、パリの住民たちを完全に慄い上がらせてしまいました。
 「馬匹どもは血の海の中を歩いてんだ ! 騎兵どもは雄叫びをあげながら略奪してやがるが、あの声は罰当たりを言っているにちげえねえ。」

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翻訳 | 05:19:12 | Trackback(0) | Comments(0)
喪に服す日
 今日2017年6月15日は、喪に服す日として、日本史に残るかもしれない。いわゆる6.15の法案可決の日として。
 ついに政府は、「中間報告」という隠し刀を使って、凶暴罪、いや共謀罪を成立させた。
 参議院の死だと野党の人は騒いでいたが、元より日本の二院制、つまり参議院は曖昧な議会であったのは確かだ。衆議院と同じように選出された国会議員で構成されるのだから、参議院の持つ特殊性、参議院の参議院たる存在理由というものがはっきりしない。戦前は貴族院だったので、その特殊性は・・・良きにつけ悪しきにつけ・・・明快だった。要するに民衆の代表ではないということだ。イギリスの貴族院は未だその形態を保っているから驚きだ。が、その存在意義は確かにあるのかもしれない。
 翻って日本の場合は、衆議院選挙に落選したので、参議院に鞍替えなどと言っている議員がいるような議会だから、存在意義は希薄だ。要するに国会議員になれれば良いということではないか。できれば衆議院議員になりたいが・・・ということは、参議院は衆議院より劣っているということか。以前参議院選挙は、全国区というものがあり、テレビの人気司会者などがトップ当選していた。当時の参議院は、衆議院との異質性をその選出方法で保っていたのかもしれない。
 待てよ! 今日ここで声を大にして言いたいのは、二院制のことではない。戦後の転換点ともなるかもしれない恐ろしい法案が成立したということだ。先のない僕にとってはどうでも良いけれど、若い人たちにとってはこれから先、重苦しい時代にならなければ良いがと願う。あの金田とかいう法務大臣の顔をよく覚えておいてもらいたい。これから悪法の適用とともに思い出される顔なのだから。

雑感 | 07:55:17 | Trackback(0) | Comments(0)
『聖女ジュヌヴィエーヴとメダル』(2)
◇ 抵抗の町(1)

 「どうだった ?」十人隊の隊長カルカスが家に入ると、一緒にいた、というより暖炉の周りにうずくまっていた四人が声をそろえて尋ねました。
 隊長はすぐに答えませんでした。二月の刺すような北風が吹きさらしだった通りからやって来ると、この天井の低い部屋の空気が彼には心地よい温さに感じられました。木屑を貧乏たらしく少しくべただけの火は暖房と言うには程遠かったにも関わらずです。火は徐々に暗くなりましたが、それでも闇夜の中でただひとつ灯りの役割はしていました。
 その晩、隣組の三人は助祭のシモンの家に集まっていました。その粗末な家は、ユピテル・ナウティクス神殿の跡地に建立された聖母マリアの教会堂と、聖堂付き司祭のテオドール師の重々しい家との間に隠れています。その場にはもう一人、すでに三十路ではありましたが美しい未婚の娘ジュヌヴィエーヴがいました。このシモンの姪は、父が森で不慮の事故で亡くなった後、親戚の家に身を寄せていたのです。彼女は、わずかなながら父の遺産を売却したので、叔父の助祭に全面的に頼ることなく生活することができました。叔父が受け取る、教会堂の維持管理や典礼指導の報酬はたかが知れておりました。
 ジュヌヴィエーヴは、持参金はないしつまらない木こりの出にもかかわらず、何人もの資産家の子弟から結婚の申し込みをされました。人伝では、美男子で若い富裕なあるローマの騎士が彼女に夢中になったそうです。ある晩、彼は、助祭シモンの家の戸口で、彼女に結婚したい旨宣言しました。

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翻訳 | 07:37:16 | Trackback(0) | Comments(0)
スマホ時代のショック
 おととい、授業のリアクションペーパーで、ある学生が「北朝鮮と韓国が敵対・対立しているのを初めて知った」と書いていました。たった一人だけとはいえ、これを読んでひどいショックを受けています。対象学生は3、4年生です。
 テレビを見ない。ニュースを見ない。電車内のつるしを見ない。キオスクの新聞の見出しを見ない。友人と社会問題について話さない・・・
 どうしたら、ここ数年とりわけかまびすしく語られている問題に目を閉じ、耳を塞いでいられるのでしょうか。どうしたら、こういう社会問題からするりと身をかわすことができるのでしょうか。
 正直に反応してくれた学生に、感謝の気持ちもあります。おかげで今を垣間見ることができたからです。
 これは、スマホ時代、情報過多時代のパラドキシカルな現象かも知れません。

雑感 | 05:26:33 | Trackback(0) | Comments(0)
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