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石田明生

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『聖女ジュヌヴィエーヴとメダル』
 パリの物語の第二弾は、『聖女ジュヌヴィエーヴとメダル』です。やはり長いので何回かに分けて掲載します。

1. 羊飼いの娘、ジュヌヴィエーヴ

 「こっちよ、フィデル。静かにしていてよ。いけない犬ね !」
 でも、フィデルは不安げでイライラして、でたらめに羊たちをしつこく追い回していました。一方、羊は羊でまた、不安に煽られているかのように、メエメエ鳴いて、互いに身を寄せ合うばかり、小さな花が点々と咲いた柔らかな草を食もうとさえしませんでした。しかもその花々でさえ、何か大惨事でも予感しているかのように、身を縮めていたのです。
 この羊の群れの番をしている羊飼いの小娘は、四つ脚をした自分の家来がみんな、今日はどうして変なのか不思議でたまりません。八歳になったばかりのジュヌヴィエーヴは、今までと同様、ヴァレリアヌス山の麓に広がるサン・クルーの丘に羊の群れを連れて来て、草を食わせていました。ここは彼女の家からたっぷり四分の一里ほどのところです。
 この群れは、正確に言うと十匹の子羊を含めて、二十三匹ほどの群れでした。これは実直な木こりであるジュヌヴィエーヴの父親の財産のほとんどでした。父親は、遠くまで広がる、抜け出るのに何日も何日もかかるほど大きな森で働いていました。母親は三年前に亡くなっていたので、ジュヌヴィエーヴはちょっとした家事仕事をしたり、大好きな動物たちの世話をして父親を手伝っていました。

(注) ヴァレリアヌス山: パリのすぐ西にある小高い山、現在ヴァレリアン山と呼ばれる。

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翻訳 | 15:47:46 | Trackback(0) | Comments(0)

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