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ロートレック展で見つけた「傑作」
2月10日(日)

 夕べの雪で白くおおわれた餌台にミカンを置き、枝にパンを刺した。もう慣れたもので、すぐにヒヨドリが飛んで来て、枝に舞い降り、パンをついばんだ。このヒヨドリ、いつものだろうな、まだ名前がない。

IMG_2778.jpg
ヒヨドリ


 すると、後を追って来たかのようにピピ・カカ夫妻が餌台に降り立った。今度はミカンだけでなく、パンのかけらもついばんでいる。


 先ほどテレビを見ていたら、昼のワイドショーが時津風問題をとりあげていた。
 その中のニュースフィルムに、文部・科学省の副大臣が、大相撲の幹部たち(たとえば元千代の富士など)に意見を述べているシーンが映った。
 こんな風なことを言っていた。「この度の事件で、皆様方は大相撲の歴史の中に、大きな汚点を残されたわけで・・・」(細部若干異同があるかもしれません)
 びっくりした。天下の文科省副大臣が「汚点を残す」に敬語を使っていたからだ(受け身でないのは確か)。「汚点を残された」と敬語を使うと、まるで、相撲の幹部たちは努力をして、意識的に「汚点」を残したみたいだ。つまり、「業績を残された」と同じだ。
 敬語の乱れに目くじらを立てているわけではない。むしろ、おもしろがって、楽しんでいる。敬語表現は難しい。まして、テレビのインタビューやとっさの受け答えの時など、間違えずに話すほうが、奇跡的だ(ただし、副大臣松波氏の「残された」は用意していた台詞でした)。
 先日、サントリー美術館に「ロートレック展」を見に行った。美術館入り口の階(3階)で、敬語の「傑作」を見つけた。うれしくなって思わずシャッターを押した。

RIMG0032.jpg

 ごらんのとおり、「ペットの立入はご遠慮下さい」と書いてある。これをどう解釈するか(送り仮名のことは言うまい)。
 「立入り」とは、「立入り禁止」のように使われる。意味は「その場所にずかずかと入ることを禁止する」ということだろう。それでは誰に言っているのか?
 立入り禁止の場合は、その立て札を見ている人にメッセージを発していると考えるのが至当だろう。「皆さん、ここに入ってはいけません」
 では、ガレリアビル三階のメッセージは誰に対してなされているのか。
 もちろん、これを読んでいる不特定多数に対してだ。当たり前だ。では、「立ち入る」のはだれか? これもべつに難しくはない。まさか、不特定多数の我々来客たちに「入るな」と言っているわけがないから、相手は「ペット」だ。
 ところで、ペットは字が読めない。まさか「ペットさん、皆さんの立入りは、遠慮していただいています。入らないで下さいね」・・・こんなわけがない。
 
 では、どんな文章なら良かったのだろうか。
 「ペットの持ち込みはご遠慮下さい」これではまるで飲み屋で「食べ物の持ち込み禁止」のようだ。
 「ペットの同伴はご遠慮下さい」これではペットを擬人化しすぎる。まるで、「異性同伴禁止」みたいだ。
 やはり「ペットの・・・」という表現は無理なのではないだろうか。だったら、「ペット連れはご遠慮下さい」はどうだろうか。ハムスターのような小動物をポケットに入れていたら、どうするだろうか。「ペットを[連れている]のではありません」と反論されるだろうか。
 まるでペットに敬語を使っているような、このプレートは素敵な作品だった。
 えっ! ロートレックはどうだっただって?
 点数も多く、人生の時間軸に沿って展示された作品群は、見やすく、わかりやすく、19世紀末のパリにタイムスリップするにはもってこいかもしれない。そのために、あえてロートレック以外の作品や、映像を展示したのも良かったと思う。
 ところで、資料を提供している鹿島茂(フランス文学者)ではないが、僕も、スタンランの版画が描かれた新聞(「ジル・ブラス」紙)を「蚤の市』で買い求めて、数枚所有している。

IMG_2782.jpg
1895年11月24日の「ジル・ブラス紙」アルセーヌ・リュパン(ルパン)もので有名なモーリス・ルブランの短編小説用の版画・・・スタンラン作

 僕の隣で、鹿島茂コレクションの展示品を見ていた、品の良い二人の老婦人の会話が耳に入った。
 「あれっ、まあ。これ、個人蔵になっているわ。鹿島って人だって」
 「鹿島じゃあ、鹿島建設の社長さんでしょうね。なにせ、こういうのって、たいへんなんでしょ。お金が」
 僕も似たようなものを持っていますと、もう少しで言いそうになったけど止めた。スタンランの版画の新聞、3枚10ユーロで買ったものだ。これと同様のものならば、100枚求めても、鹿島建設の手を煩わせなくても大丈夫だろう。
 ただし、鹿島氏の展示品はスタンランの版画ではなく、ロートレックのだった。ロートレックとなると、3枚10ユーロというわけにはいくまい。それにしても、鹿島さんや石橋さんなどの富豪でなくとも、たぶん買うことはできるだろう。
 ロートレックを見ていたら、また、蚤の市に行きたくなった。また、あの百年ほど前の古新聞の山を一枚一枚めくって、レトロに浸りたい。

 
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日常スケッチ | 15:45:59 | Trackback(0) | Comments(0)
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