■プロフィール

石田明生

Author:石田明生
ホームページの方もよろしくお願いします。
文学雑感、旅行記、翻訳などを載せています。

■4travel

スキピオの旅行記(写真付き)もごらんください。

■最近の記事
■カテゴリー
■最近のコメント
■月別アーカイブ

■最近のトラックバック
■リンク
■アクセス解析

■ブロとも申請フォーム
■ブログ内検索

■RSSフィード
ノルウェン・ルロワと妖精メリュジーヌ
 部屋中に、ヴールジ(Laurent Voulzy)独特のメロディーが心地よく流れる。軽くさらりとしてリズミカルな、品の良い音楽。その軽快なメロディーに、女の、甘ったるい蠱惑的な歌声が和して、えも言われぬ甘美な世界が広がる。
 これはこの春手に入れた、ノルウェン・ルロワのアルバム『博物誌 HISTOIRES NATURELLES』の出だしだ。最初の三曲はヴールジの作曲による。そのためだろうか、このお堅いタイトルを持つルロワ的領域に入るためのイニシエーションにはなにも難しいことはない。
以下は、彼女のライブから、Histoire Naturelle です。

http://www.youtube.com/watch?v=GzZPpV2E5Cs



ルロワ

ノルウェン・ルロワ(『博物誌』より)

Melusine3

『メリュジーヌ物語』表紙



 ルロワ的領域? そう、これは、博物学的境界内の、美しい蝶の標本、クジャクの剥製、豪華、華麗なガラスケースの世界だ。このアルバムの中で、ルロワという標本は、ナルシスティックな博物学的な美を発散する。

博物誌

作詞・作曲 : ヤスミン・シャー、アルノー・ロザンブラ

わたしの進化をたどる
グランド・ギャラリーのなかには
わたしが広口壜から生まれでたと
思う人たちがいる
でも、わたしは蝶
宿命的な無分別もの
迷い子の蝶
ライオンたちのなかで
ピンで留められ、ラベルを貼られた
わたしは、科学上のひとつの謎 (抄訳)

 しかし、ノルウェン・ルロワは、蝶の標本のままにとどまらない。現代の博物誌を抜け出て、遠い中世の伝説の世界へと、われわれを誘う。
 彼女は、ポワトゥー地方で語り継がれたあの伝説の妖精「メリュジーヌ」なのだ。

 事故とはいえ、主人を殺めてしまい、失意のどん底にいた若き騎士レイモンダンは、コロンビエという魔法の森をさまよううち、月に照らされた泉に辿り着く。そこには絶世の美女が月明かりの下、レイモンダンを待っていた。彼女は彼のこれまでとこれからの運命をすべて見抜く力を持つ妖精だった。彼女の言葉を聞いて、レイモンダンはたちまち、よみがえりの力を得て生きる決心をする。彼女はレイモンダンの妻となり、彼の繁栄を保証するだろう。しかし、一つだけ条件がある。それは、土曜日の夕方、入浴する自分を絶対に見ないこと、それだけだ。それさえ守れば、レイモンダンは、いや彼の子々孫々にわたるまで永遠の繁栄を手に入れることができるだろう。
 若き騎士にもちろん否やはない。
 何年も時が流れ、美しい妻とともにあるレイモンダンは、一介の男爵から、栄えに栄え、ポワチェ伯になる。それどころか息子たちも出世をし、中には一国の王にまで登り詰めるものまで現れる(史実である。レイモンダンのリュジニャン家の発展)。ところが、嫉妬した叔父のそそのかしもあって、ついに彼は、妻の浴室を覗いてしまう。すると・・・

Melusine

『中世における妖精メリュジーヌ』の表紙



以下は、ライブから Mélusine です。
http://www.youtube.com/watch?v=8RxQXLX0P8E


メリュジーヌ

作詞・作曲 : ヤスミン・シャー

わたしは黙ったまま
わたしの出生の秘密を
あなたは何も知らない
わたしの実像を
神秘のわたしはあなたを惹き付ける
あなたが何を見
何を思うかわたしは知らない
超自然のわたし

あなたはわたしの心の中まで読みたがる
でもふたりのつながりが
切られてしまう
もしもわたしの湯浴み中
あなたがわたしの裸身を見れば
・・・
わたしは再び蛇身に戻る
超自然のわたし (抄訳)

 夫レイモン(レイモンダンを改めレイモンとなる)に正体を知られたメリュジーヌはどうなるのだろうか。
 驚くべきことに城のものたちの見守る中、メリュジーヌは窓から身を投げると、にわかに生えた翼をはばたかせて飛び去ってしまう。そのとき、別れを惜しみ、泣き声を上げながら、城の塔を三度旋回したと言う。

Melusine 2


わたしは飛ぶわ、ああ、わたしは飛ぶわ
変身をして
わたしは飛ぶわ、ああ、わたしは飛ぶわ
忽然と
はばたいて、はばたいて
あなたは覗き見たのね
わたしの正体を (抄訳)

 メリュジーヌを失った、失意のレイモンは、旅に出て、ピレネー山脈の庵に隠棲する。

 ルロワとメリュジーヌ、すばらしい組み合わせだ。メリュジーヌ同様、彼女には豪華な衣装と壮麗な城が似合うのかもしれない。

注 : 妖精メリュジーヌについては、後に詳しく物語る予定です。
スポンサーサイト
ポップ・フランセ | 00:03:53 | Trackback(0) | Comments(0)
コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

FC2Ad