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石田明生

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鎌倉歩き・・・Avec Madame et Monsieur M
 現在、奈良・京都旅行の旅日記を書いている途中で、話が前後してしまいますが、先週の水曜日に鎌倉歩きをしたことを今日は書きたいと思います。
 実はこの鎌倉歩き、奈良・京都旅行の延長にあるものなのです。というのも、我々は京都で「妙心寺」というお寺の宿坊に泊まったのですが、朝食の時、フランス人ご夫妻とご一緒し、親しくなり、メールでやり取りするうち、一緒に鎌倉に行こうと言うことになったからです。ですから、この鎌倉歩きは、京都旅行の副産物ということになります。

Mさん夫妻
Mさんご夫妻



 フランス人ご夫妻はMさんと言います。Mご夫妻は、上野の不忍池近くにある旅館「勝太郎」に宿を取っていましたので、16日の朝、定番の待ち合わせ場所、西郷像の下で会いました。6日に京都で別れて以来です。お二人は、京都の後、奈良、広島、宮島と見学して来て、12日に東京に帰って来たということでした。つまり、10日ぶりの再会ということです。
 さっそく、京浜線、東海道線、横須賀線を乗り継いで(戸塚乗り換えにすると楽です)、北鎌倉に降り立ちました。
 もう六十代半ば過ぎでしょうか、Mご夫妻の仲の良い夫婦ぶりには電車の中で驚かされました。べたべたしているという意味ではありません。さりげない仕草の一つ一つが、ほのぼのしたものを感じさせるのです。離婚率の高いフランスで、生涯添い遂げる夫婦の呼吸の秘訣を垣間見たような気がします。
 まず、円覚寺に入りました。異国の旅行者の人に申し訳がない気がするのですが、ここに入るのにもひとり300円かかります。京都の寺ほど高くはありませんが、それでもお寺に入るたびに拝観料を取られては、日本の旅はずいぶんともの入りになるだろうと思います。ちなみに今日は、円覚寺(300)、建長寺(300)、大仏(200)、長谷寺(300)の4カ所、しめてひとり千百円となります。
 例えばフランスの教会や大聖堂で、有料のところはほとんどありませんから、やはり、彼らにとって驚きだと思います。しかも、日本の場合、拝観料を払った上に(仏像など)撮影禁止ときていますから(教会や聖堂の内部でも撮影禁止は少ない)、複雑な思いをしていることでしょう。

コネリー
円覚寺の灯籠の穴・・・ダニエル

 夫のダニエルは、旅行中、アメリカ人の旅行者に「ショーン・コネリー」と呼ばれたと言って笑っていました。ふむふむ確かに似ています。さらに、妻のマリーは「カトリーヌ・ドヌーヴです」とおどけていました。確かに年ごろはちょうどそのくらいかもしれません。彼女は、ハンドバックも袋もなにも手に持っていません。まさに手ぶらです。たまに、ダニエルからカメラを借りて写真を撮っているだけです。すべてが、レインコートも、ハンカチも、お金も、なにもかもがダニエルのリュックサックにおさまっているそうです。毎年、一ヶ月だけ、旅のときは夫がすべて担ぐことにしているそうです。「だってあとの11カ月はわたしがみんなやっているんですから」とは、マリーの台詞。もっとも夫のダニエルはこんなリュックを担ぐことくらいなんでもないことでしょう。言い忘れましたが、彼は、フランスで、柔道の先生をしているのです(柔道7段)。体こそ大きくありませんが、びくともしない強靭な肉体の持ち主、そんな感じです。やはり、ショーン・コネリーでしょうか。

リュック
ダニエルのリュックにはいろいろなものが入っている。

 次に向かったのは建長寺、北条時宗の寺です。二人に簡単に元寇の話をしました。すると「カミカゼ」という単語がダニエルの口から漏れました。少し日本の歴史をご存知のようです。もっともその後は、ジンギスカンから朝青龍まで、強いモンゴル人の話題に移りましたが。
 寺の庭園にある石灯籠を見ているとき、彼らは変なことを言っていました。「うちのと同じだ」こんなようなことです。僕のフランス語の聞き違いだろうと思って、意にも介していませんでした。が、後にわかったのですが、驚くべきことにお二人の田舎家の庭にも日本の石灯籠が二基置いてあるそうなのです。日本の狭い家に住んでいる我が身の想像力のなさを痛感した次第です。
 やっと、鶴岡八幡宮にやってきました。ダニエルは柔道をしているせいか、このようなサムライ的な世界が好きなようです。盛んに写真を撮っていました。そうです、神社は寺と違い、少し西洋的と言えるかもしれません。拝観料は取りませんし、写真も禁止は少ないからです。
 さすがに、大銀杏の年齢が千年と聞いて驚いていました。この銀杏の木の下で、実朝が殺された話をしようとしましたが、今ひとつピンと来ないようなので止めました。ちなみに銀杏はフランス語で、ginkgo と言い、発音は辞書に寄ると「ジャンゴ」ですが、M夫妻は「ジンゴ」と発音していました。辞書によると中国語だそうです。
 段葛を海に向かい、途中で右におれ、鎌倉駅のほうに行きました。昼食をとるためです。向かう途中、お二人は、「昼食代はこっち持ち」と主張なさいます。たってのことなので、甘えさせていただきました。
 実は、この昼食のことを前々から考えていました。日本料理はほとんど食べたと言うご夫妻に、それでも食べていない日本料理はなんだろうか。しかも、値段は安く(おごられる可能性があるから)、長蛇の列になっていない店・・・
 そこで、思いついたのは洋食でした。しかもその中でもきわめて日本的な「オムライス」です。お二人に「オムライスという食べ物ご存知ですか」と聞きましたら、Non というご返事です。思った通り。お二人は興味津々です。もちろん、ご飯入りオムレツ(omelette au riz)と説明しました。益々興味津々。
 インターネットで調べておいた店「Kura」に入ったのはそんなわけです。初めての店でしたので、内装等心配でしたが、そんな心配、入ってみると吹き飛んでしまいました。店は、「ビストロ」と名のっていました。ダニエルのうれしそうな様子、「ビストロ、ビストロ」と繰り返しています。実際、夜はワインバーのようなすてきな内装ですし、ワインの種類も相当揃っているようです。
 メニューを見ますと、昼の定食はだいたい、千円から千五百円くらいでした。もちろん僕たちはオムライスを注文しました。千五十円なりです。飲み物は、マリーが日本のビールが好きだと言っていたので、アサヒビールを二本注文しました。
 まずコンソメスープ、次に小皿のサラダ、そして・・・
 色濃い炒めライスの上に黄色いオムレツが掛け布団のように載ったオムライスが出て来ました。「ワーオ」声を上げるダニエル。時を移さず、ハヤシライスのソースのようなソースが別の入れ物に入って添えられました。その焦げ茶色のソースをきれいな黄色の卵焼きの上に容赦なくかけて食べます。
 僕もこのようなオムライスを食べたことがありませんでした。今まで食べていたのは、ケチャップご飯を卵焼きでくるんで、その上にまたケチャップをかけるという、素朴な(野蛮と言いたくなりました)オムライスです。ですから、薄い卵焼きをご飯のケチャップとソースのケチャップで同時に食べるので卵に卵の主張がありませんでした。ところが、この店のオムライスはちがいます。卵焼きでご飯をくるまず、上に載せているために卵は半熟のとろとろのままです。しかも、そのとろとろ卵を、下のハッシュ・ド・ビーフソース味のご飯と、卵にかけたハッシュ・ド・ビーフソースで、上下挟み撃ちにして食べます。そのときの卵はえも言われぬ味わいで舌の上でとろけて踊ります。卵の存在感はしっかりありました。
 ご夫婦も「デリシウー(おいしい)」を連発しています。もうこれだけで、今日の鎌倉歩きは大成功のような気がしました。
 この食事に、お二人りが持参した、お二人の家やご家族の写真のアルバムが色を添えます。
 ヌヴェール郊外のお宅は、うらやましくなるような豪邸でした。先ほども言いましたが、石灯籠のある日本庭園、自家製野菜を栽培しているという畑、野生のリス、モグラ、野鳥、ご家族の邸宅、友人用の家・・・僕は思わず、「天国」と言ってしまったほどです。彼は謙遜して、人口が少ないからとかなんとかおっしゃっていましたが。
 36歳前後の二人のお嬢さんと、「ガイア」と言う名の可愛いお孫さん。もちろんガイアは大地の女神の名前、目の中に入れても痛くないに違いありません。その女の子が、柔道着を着ている姿はまさに天使のようです。
 これが、フランスの典型的な中産階級なのかなと思われます。我々にぜひフランスに来るように誘ってくれました。それどころか、僕が学生を引率してフランスに行くことがあるかどうか、尋ねました。Non と答えましたが、あの口ぶりでは、学生を何人か引き連れて行っても歓待してくださりそうな感じです。
 食後は江の電に乗って、大仏様を見に行きました。奈良の大仏を見学した後では、迫力に欠けるかもしれませんが、露座の大仏というところがここの特徴でしょう。もっともこの大仏様、実際は阿弥陀如来だそうですが・・・
 子供の時、この大仏様の中に入り、背中の窓から見た景色が何とも言えず良かったことが思い出されました。そこで、さっそく入ることにしましたが、びっくり!
 胎内に入るのに、有料だったのです。いつからこうなったのでしょうか。見るとひとり20円と書いてあります。この金額はもちろん何の痛痒も感じないような額ですが、それならなおさらのこと、なぜわざわざ掘ったて小屋まで作って、徴収するのでしょうか。どうしても20円取りたければ、この境内への拝観料200円を220円にしたほうがよほど気が利いています。もっともそれだと、入らない人に申し訳が立たないとでも言うのでしょうか(それなら210円にしろ)。
 フランス人を案内しながら、少し恥ずかしい気がして来たところに、まだ僕は日本への愛国心があるのだなと、内心苦笑してしまいました。
 しかし、胎内に入ってまたびっくり!
 背中の窓にのぼる階段が、使用禁止になっていて、のぼることができないのです。こんどこそ愕然としてしまいました。M夫妻は、ニューヨークで、自由の女神の頭にのぼった話をしておられました。自由の女神どころか、この大仏様の胎内見学は、どんなところと比較しても、みすぼらしいものでしょう。せこい入胎料20円がなければ、なんと言うこともなく笑い話で終わってしまうのですが・・・
 さて、次は今日の最終目的地、長谷寺です。大仏様から歩いて10分ほどで到着します。結論から言うと、この長谷寺は300円なりを払いましたが、見るべきところもあり、良かったと思います。

テラス
長谷寺にて・・・ダニエル

 テラスで、ダニエルがリュックに担いで持って来たバナナとイチゴをいただきました。イチゴは、バナナの重みでつぶれていましたが、それはそれ、気持ちの問題です。楽しいお茶の時間となりました。空では、トンビとカラスがえさを狙って飛んでいます。
 「これは太平洋か?」ダニエルが海をながめながら、尋ねます。「ええ、湾ですが」
 「では、ずっと行くと、アメリカですね。途中にタヒチがありますか」
 「タヒチはもっと南・・・タヒチも行ったことがあるのですか?」
 「ああ、ずっと南ですね。ええ、行ったことがあります。すごくきれいですね」
 「タヒチも」
 「娘が3年間、いたものですから」

テラス
M夫妻

 世界中を旅しているM夫妻、ここ、鎌倉にも良い思い出を持ってくだされば。
 江の電、JRを乗り継いで、上野公園に到着したのは、夕方の6時頃。ダニエルとは固い握手を、マリーとはビーズ(キス)をして、鎌倉歩きの一日が終わりました。
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国内旅行 | 18:01:55 | Trackback(0) | Comments(0)
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