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石田明生

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ナインは9ではなく16?
 また甲子園大会の季節がやってきた。もっとも今年は、北京オリンピックのせいで、予定が早まっていると聞く。いずれにしても、猛暑とゲリラ豪雨と雷、夏まっただ中だ。
 そして甲子園大会のたびに、よく耳にするのが、「何とかナイン」だ。たとえば、「浦学ナインは県知事に挨拶した後、甲子園に出発」とか「横浜ナインは甲子園の土で初練習」のように使われている。この「ナイン」という外来語はいつから使われるようになったのだろう。それとも、プロ野球チームを指して用いられたほうが早かったのだろうか(《巨人軍ナイン》)。


 僕の乏しい、あやふやな記憶では、この表現は子供の頃使われていなかったように思う。
 この「ナイン」は、野球が9人で行われることから、チームを指すようになった英語から来ているのは言うまでもない。似たものに「イレブン」や「フィフティーン」がある。もちろん、「イレブン」はサッカー、「フィフティーン」はラグビーの競技人数から来た表現だが、「ナイン」のように、「浦和イレブン」とか「久我山フィフティーン」として、チーム全体を指して用いられてはいないようだ(注)。

注 : かつて(半世紀近く前になるかも)、『赤き血のイレブン』というサッカー漫画があった。高校名は「新生高校」といっただろうか。そこのサッカー部員は、まだ誕生したばかりなので、たった11人しかいない。だから、まさにそのチームは「イレブン」イコール「チーム」だった、と記憶する(なにしろ半世紀近く前のことだ)。これは、当時創立したばかりの「浦和南高校」がモデルだったと仄聞している(あの時の「南校」は本当に強かった)。
 また、甲子園では、徳島の「池田高校」がまさに「イレブン」で出場し、旋風を巻き起こしたことがあった。あれは、「池田ナイン」ならぬ「池田イレブン」だった(確か当時の「池田校」、責めだるまと呼ばれていた。いいチームだった)。まあ、これは余談の余談だが・・・

 イレブン(またはフィフティーン)は「イレブン(またはフィフティーン)がピッチに立ちました」のような表現でよく用いられる。これなら、人数的にまったく問題はない。野球の場合なら「ナインが守備につきました」という表現も同様だ。
 ところが、「横浜ナインは甲子園の土で初練習」という表現での「ナイン」は、何度聞いても白々しい。その練習風景は、おそらく、横浜高校野球部の部員、何人いるか知らないけれど、何十人かの部員たち(あるいは登録メンバーの16人)のかいがいしい動きから成り立っているはずだ。
 この「ナイン」という表現を用いているNHKのアナウンサーが、その乾かぬ舌で「この勝利は、ベンチに入れなかった部員たちの勝利でもあるんですよね」なんて言うのを聞くと、あきれかえってものが言えない。それならばどうして9人を意味する「ナイン」という表現を用いるのだろうか。たとえ、「チーム」を意味するとしても、「ナイン」という表現にはどうしてもレギュラーの9人という限定された語感がつきまとう。もともと「チーム」という立派な外来語があるのだから、わざわざそれを忌避する必要がないのではないか。。
 先ほど、触れたようにプロ野球のチームをさすのにも使われているようだ。たとえプロでも事情は同じだろう。9という数字が、何十人も抱え込んだ大所帯の集団を意味するにはもともと無理があるのだから。
 甲子園大会が終了し、優勝チームは地元に帰る。その時また紙面に次のような活字が踊ることだろう。「○○ナイン、故郷の町に凱旋する」
 野球チームがもともとは狭量な意味に過ぎない「ナイン」と呼ばれるたびに、外来語の安易で無批判な受容ということを考えるのは、ぼくひとりだろうか。
 ちなみに、オリンピックの日本野球チームは、ずっと気をつけて見ているが、いまのところ星野ジャパンと呼ばれていて、「ナイン」は用いられていないようだ。もしも、これが「星野ジャパン・ナイン」と呼ばれたならば、当の星野氏が抗議ののろしを上げるべきだろう。「うちのチームは9人じゃない。9人じゃ野球はできない」それどころかこう言うだろうか。「この勝利は、全員の勝利だ。全員ってのは、野球関係者だけではない。日本人全員ってことだ」
 おっと・・・これは勝利したときの台詞だった。負けたときこんなことを言ったら滑稽だ。「この敗北は、全員の敗北だ。全員ってのは、野球関係者だけではない。日本人全員ってことだ」
 さて、甲子園も北京も、これからが本番。テレビ観戦しかできないが、美しい場面が見たいものだ。
【付足し : これを書いているうちに「浦学チーム」は「横浜チーム」に敗退してしまった。と、書いてみたが、しっくりしない。どういうわけか、こうは言わない。チームをナインに置き換えても同様だ。「浦学は横浜に敗退」と言う。それならば、このような文脈で「チーム」は絶対に用いられないか、と言うとそうでもない。「日本チームは、○○率いるアメリカチームに敗退」】
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雑感 | 20:38:43 | Trackback(0) | Comments(0)
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