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小説『居酒屋』(エミール・ゾラ作、1877年)の世界を歩く(1)
 小説『居酒屋』は、帝政時代(19世紀中葉から1870年まで)の庶民生活を余すところなく描く。この傑作は、歴史書からは伺い知ることのできない、パリの巷に漂う生活臭を知ることのできる貴重な作品だ。

 洗濯女のジェルヴェーズは昼休みにブリキ職人のクーポーに誘われて、「居酒屋」でブランデー漬けのプラムを食べている。ふと外を見ると・・・

《仕事のために遅れた労働者たちは、空腹で不機嫌な顔をして、大またに車道を横断して、真向かいのパン屋に入ってゆく。そして小脇に一ポンドのパンをかかえてまた出てくると、三軒先の《双頭の子牛軒》へ六スーの定食を食べにゆく(1スー= 5 サンチームだから、3フランの定食・・・筆者)》pp.66-67(新潮文庫)


 現在、フランスのレストランで食事をする時、パンは常に食べ放題で、無料だ。仄聞によると、「パンを無料で提供しなければいけない」と法律で決まっているものらしい。
 小説の一節を読むと、当時はまだそういう法律はなく、食事の時、食堂にパンを持参したものなのだろうか。無料なのにパンを持参するものはいない。つまり、パンは有料だったのだろうか。
 それは考えられるかもしれない。というのは、後に、クーポーとジェルヴェーズの結婚披露宴が「銀風車」という酒場兼レストランで行われたのだが、その時勘定の段になって、もめにもめて、店主が次のように言うからだ。

「もう六フラン払ってくださいましな・・・。まだ、だんなのパンの三本は勘定してないんですぜ!」(p.158)

 ここで、店主はパン代を請求している。ただし、パン代が六フランという法外な値段というわけではない。葡萄酒20リットルの予定が25リットルになり、ラム酒を一本とデザートの卵菓子が追加されたので、その分をせめて、6フランでもいいから払ってくれ、というわけだ。パンについては、会食者のひとり「長靴」という男がすさまじい食欲を発揮して、店のパンが足りなくなるほど食べたからだ。おそらく、予定を上回る量のパンが消費されたので、店主はこぼしているのだろう。
 では、現在のように「無料」になったのはいつからなのだろうか。浅学にしてわからない。パンと言えば、やはりこれも伝え聞いたことだが、バゲット(棒パン)の長さがほぼ65センチメートル、重さが250グラムと定められたのは、この小説の時代の帝政時代だったらしい。レストランのパン食べ放題もこの頃決まったのかもしれない。

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文学雑感 | 22:11:55 | Trackback(0) | Comments(0)
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