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石田明生

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シャルトルとヴェルサイユ・・・欲張りツーリスム
7月29日(土)晴
 今日はシャルトル大聖堂とヴェルサイユ宮殿の両方を見学してしまおうというダブル・ヘッダーの日。少し欲張りすぎのようだが・・・
 朝9時15分発のシャルトル行の列車に乗るべく、7時過ぎに家を出る。早く着いてしまうが、今回のお客である義妹とその娘にモンパルナス駅とその周辺を見せたいのと、去年もそうだったが、切符を買うのに手間取ってしまいそうだから。駅で余裕を持ちたい。

7/29/モンパルナス駅.JPG

モンパルナス駅(パリにある六つの終着駅の中で唯一の近代的な建物)

TGV.JPG

時速300kで走る高速のTGVが待機している
フランスでは「お犬様」も列車に乗ってヴァカンスに・・・



 案の定、郊外行きの切符売り場でキップを買い求めようとしたところ、長距離行き grandes lignes の方でと言われた。まったくシャルトルは近郊なのか、長距離なのか(今までそのつど違っていた)。結局は長距離扱いで、掲示板もTGVなどと一緒に出ていた。

駅と自転車.JPG

駅の構内で自転車を転がしているのもフランスならでは。列車に自転車を載せるスペースがある

郊外列車.LPG

我らが乗る予定の列車 "Ter"

郊外列車内2.JPG

列車は二階建てが普通。そのためか車内はたいてい空いている。これでは満員の通勤列車というものは存在しないかも知れない

  シャルトルまで12.7ユーロ、16歳の姪に割引きがあるかどうか尋ねると、「今朝乗るのか?」と聞かれたので「そうだ」と言うと、「それでは(割り引きは)ない」と言われた。
不思議な気がしたが、帰りのシャルトルで切符を求めた際に、割引きがあったので、時間帯によるのかも知れない(あとでわかったが月曜日の午後の約3時間と土曜日の午前中の約3時間は割引きなし)。

7/29/車内携帯マーク.JPG

携帯電話についてメトロや市内バスにはなんの規制もないが郊外列車や長距離列車にはこのようなマークが付いている

携帯マーク.JPG

おしゃべりは、ここで

 それにしても不思議だ。改札口はないし、一度も検札に来ないのになぜそんな時間帯に割引きなしの大人料金を作るのだろうか。混むから、というのは当たらない。現にシャルトル行の列車は行きも帰りもがらがらだったから(後に乗った郊外列車もすべて空いていた)。

Chartres 駅.JPG

シャルトル駅

 シャルトルまで日本で言えば急行か準特急のような列車で約1時間で到着する。

La Cathedrale.JPG

シャルトルのノ-トル=ダム大聖堂・・・ロマネスク芸術とゴチック芸術の融合の賜物

豆電車.JPG

シャルトルにかぎらず観光地で必ず見かける車道を走る観光列車

南薔薇窓.JPG

南側の薔薇窓

 何度も来て、何度も見学しているが、やはり外観の偉容と堂内に佇んだ時のステンドグラスに圧倒される。また、聖壇を取り巻く聖母マリアの生涯をつづった彫刻群は圧巻だ。

受胎告知.JPG

聖母の生涯《受胎告知》左側のマリアに大天使ガブリエルが神の子を宿したことを告げている

Rois Mages.JPG

《三賢王礼拝》星に導かれて三人の王(東方三博士あるいは学者とも言う)がイエスの生まれたベツレヘムに来て礼拝する。バルタザールは「没薬」、ガスパールは「乳香」、メルキオ-ルは「黄金」を献呈する

幼児虐殺.JPG

《幼児大虐殺》時の王、ヘロデはイエスを亡きものにするため、ベツレヘムとその周辺の二歳以下の子供を皆殺しさせた


 今日は信者用の椅子が置いてあったので残念ながら「巡礼の迷路(ラビリントス)」をたどることができなかった。

巡礼の迷路.JPG

巡礼の道を表す迷路の模型。信者席の下に色違いの石が埋め込まれこの模様が描かれていて、これを辿って模擬の巡礼をする

黒いマリア.JPG

柱の上にいるので「柱の聖母」と呼ばれている。1510年頃の木彫りの作品、その不思議な魅力で信者たちに愛される

 この聖堂は高台にあるので、そのテラスから眺める展望は美しい。ということは、はるか彼方から見える大聖堂の塔も美しい、ということになる。ぼくたちは列車で来たのでシャルトル近くで塔を車窓から見たが、もしもそれが巡礼をしているように徒歩のアプローチなら、ボース平野の地平線に浮かぶ聖堂の塔は言語に絶するほど美しいかも知れない。だがその感動はあくまで信者のものでなければならのないだろう。
 ちなみにこの聖堂に、聖母マリアの衣が聖遺物として保存されていると言われている。そのためにここは重要な巡礼地なのだ。

美術館.JPG

大聖堂裏の美術館、庭が美しい

聖堂下の庭園の地面に丸い金属板があり、そこに次のような銘文があった。

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「危険状態にあっておのれの義務を果たすことがかくもたやすいことであるとは私は知らなかった」1940年6月15日
ジャン・ムーラン

 ジャン・ムーラン(1899-1943)は日本ではあまりなじみがないかも知れないが、フランスでは知らない人はいない、というほどの有名人だ。
当時彼はこのシャルトルを県庁所在地とする「ウール・エ・ロワール Eure et Loire 」県知事だった。ところがナチス・ドイツの傀儡政権だったヴィシー Vichy 政府の方針に逆らい、解任される。そこでロンドンに亡命し、ド・ゴール将軍に国内レジスタンスの重要性を解いて、42年初めに本人は秘かに帰国し、国内の様々なレジスタンス運動をまとめて、「レジスタンス全国評議会(CNR)」の組織化に成功し、自らその初代議長となる(43年)。その約一月後、ゲシュタポに逮捕、拷問され、ドイツへの移送中に死去する。彼の名は「レジスタンスの統一者」として象徴的なものとなった。[平凡社百科事典を参考]
 彼を偲ぶ「ジャン・ムーラン博物館」がモンパルナス駅の上にある(シャルトル行の列車のある、いわば最適の場所ということになる)。以前見学したことがあるが、日本人が来たということで係りの人がたいへん親切だったことを覚えている。

ウ-ル川.JPG

ウ-ル川

 大聖堂の下を Eure 川が流れている。川幅は7・8メートルくらいだろう。水は澄んでいて、15センチほどの魚(「ハヤ」や「ヤマメ」に似ている)がたくさん泳いでいる。
川沿いの町並みの美しさは相変わらずだった。

7/29/ウール.JPG

ウ-ル川

川沿いの食堂.JPG

お客を待つ川沿いのレストラン

 昼食は川近くのカフェでスナック料理(キッシュ・ロレーヌ、クロック・ムッシューなど)と冷やしたロゼをとった。

通りからの聖堂.JPG

町を歩いているとふいに大聖堂が顔を覗かせる

騙し絵.JPG

静かな町は散歩に最適だ

 食後、美しい町をゆったり散歩しながら駅に向かう。

 13時40分発のパリ行の列車でヴェルサイユに向かう。10.7ユーロ(割引き料金は8.4ユーロ)だった。
 このヴェルサイユ駅はSNCFの駅でヴェルサイユ宮殿(本当は「城」)まで歩いて20分ほどかかる。途中、ヴェルサイユ市庁舎前を通ると、結婚式から出て来る一団と遭遇した。

市庁舎.JPG

ヴェルサイユ市庁舎

新郎新婦.JPG

新郎新婦を待つ介添えの子供

 フランスではたいてい市役所や区役所で結婚式をするので今日のように午後に役所前を通るとよく結婚式風景を見かける。一緒にいた姪にこのことを言うと、最初「やーだっ、市役所で結婚式なんて!」と、埼玉の・・市の市役所を思い浮かべていたが、ヴェルサイユの市庁舎を見ると、さすがに意見を変えたようだ。パリでも、市庁舎はもちろんだが、区役所も日本では考えられないくらい立派な建物だ。
 もちろん信仰心の厚い人は教会で式をするが、いずれにせよ、市役所で結婚届けのサインをしなければならない。
 さてこの市庁舎(Hotel de Ville)前の道がヴェルサイユ城の正門から、パリへと続く100メートル道路だ。この道路はさすがにすごい。
 その100メートル道路の突き当たりにヴェルサイユ宮殿の正門がある。いかにも世界中の人が押し寄せて来たというにぎわいを見せている。

宮殿前庭.JPG

ヴェルサイユ宮殿、前庭

鏡の間.JPG

鏡の間

ラトナから大運河.JPG

庭園一望(ラトナの噴水から大運河まで)

 自分で計画しておいてこんなことを言うのも変だが、中世と17世紀の大建造物を同時に見るこの企画には不思議な欠陥がある。なんとも言えずしっくりしないのだ。シャルトル大聖堂の荘厳さ、落ち着いた町の景観、対してヴェルサイユ宮殿独特の押し付けがましいほどの贅をつくしたバロック性と観光客のにぎわい。この欠陥は何だろうかずっと考えてきたが、今日こそわかったような気がする。この二つのあいだに、ルネッサンスが介在していないのだ。ゴチックとバロックはルネッサンスという媒介物がなければ、水と油のように混じりあうことがないのだろうか。

ヴェル駅JPG

RERのヴェルサイユ駅

 帰りは宮殿近くのRERのヴェルサイユ駅(「ヴェルサイユ・リーヴ・ゴーシュ」と言う)から電車に乗った。以前は駅前にみやげ物屋が一軒もなかったが今はしゃれた店ができている。のぞいてみるのも一興かも知れない。パリの降りたいメトロ駅までRER(郊外線)で2.7ユーロだった。
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パリ旅行記(2006年) | 23:33:18 | Trackback(0) | Comments(2)
コメント
旅日記拝見しました
精巧な建築物やステンドグラス、立派ですね。

聖遺物って、フランス語でなんといいますか?
それのスペイン語が昨日からずっと思い出せなくて困っています。
2006-09-19 火 11:42:01 | URL | koharu [編集]
koharu さん、ようこそ。拙文を読んで下さりありがとうございます。
ところで、聖遺物はフランス語で relique と言います。そして聖遺物を入れておく箱は reliquaire です。スペイン語に似ていますか。
ちなみに今日は、渋谷の文化村に行き、美術展「ビカソとモディリア-ニの時代」を見て来ました。フランス北部の町リ-ルの近代美術館から来ています。ルオー、ホアン・ミロ、パウル・クレ-が絶品でした。写真撮影が可ならブログで紹介するのですが。
では、来週あたりに・・・
2006-09-19 火 18:23:18 | URL | Scipion 明生 [編集]
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