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石田明生

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♪♪♪ 夢・・・ミシェル・ベルジェのアーバン(都会的)・ロックの祈り
 アメリカ合衆国での黒人大統領誕生は、昨年の大統領選挙からこの度の就任に至るまで,いや,黒人が大統領候補になったときからといってもいいかもしれない、世界を揺るがすほどの大ニュースだった。
 僕自身は、『名犬ラッシー』や『うちのパパは世界一』など、アメリカのプチブル的な側面,アメリカの一種の国家コマーシャル的なテレビ番組で育ってきたので、アメリカは裕福で自由で民主的な西洋世界そのものだと思い込んでいた。だから、高校を卒業した頃、アメリカのハイスクール(ダラス)に留学していた同級生から、なまなましい人種差別体験、プールに入るときやバスに乗るとき(たとえ日本人でも)「お前たちはあっちだ」と別のプールや座席を指定された等々の体験を聞いたとき,強烈な、めまいがするほどのショックを受けたことを覚えている。
 そんな時代を経て,絶対にあり得ないと思われていた黒人大統領の誕生、それを目の当たりにできた幸せを今しみじみと感じている。

以下のURLをクリックすると、ミシェル・ベルジェとフランス・ギャル夫妻の『かなえてやろうよ、夢を』を聴くことができます。

http://jp.youtube.com/watch?v=3jZeZEwUcck


 その当時、公民権運動の指導者として、インドのガンジーのように非暴力の運動を指揮していたルーサー・キング牧師は、道半ばにして卑劣きわまりない凶弾に倒れた。《私には夢がある》と、師が訴えていたあの頃,人が人として当たり前に暮らすことが、誰でも同じバスに乗り,同じプールに入り,同じ仕事,同じような結婚をすることが、本当にまだ《夢》だったのだ。まして、黒人大統領の出現なんて,夢のまた夢だった。皮肉な言い方をすればそれこそまさに「アメリカン・ドリーム」だった。
 フランスのシンガー・ソング・ライター、ミシェル・ベルジェ Michel Berger にとっても、それは《夢》だったにちがいない。だから,彼は今回紹介する歌でキング牧師の夢を軽く歌い上げている。おそらく、こんな時代が来るなんて,彼自身まさに夢にも思っていなかっただろう。だから、彼は歌の中で,キング牧師の夢は,ジャッキー・チェン(1954~)やチャーリー・チャップリン(1889~1977)、マザー・テレサの夢と同列にしているのだ。
 ところで、ジャッキー・チェンの夢とは何だろう。彼は子供たちのために何万ドルという大金を寄付しているそうだ。きっと、この映画のヒーローは世界中の子供たちの幸せを願っているにちがいない。それが彼の夢だろうか。
 チャップリンは、アメリカを追放されて、スイスのローザンヌで暮らしていた。そのとき、フランスの慈善活動家、アベ・ピエール(ピエール師)に、やはり大金を寄付している。その時の台詞がいい。
《私はあなたに何百万フランもお借りしておりました。ですからこのお金は差し上げるのではありません。お返しするのです。これは私が演じて来た浮浪者 vagabond のものですから。まさに、戻るべきところに戻ったということです》(wiki français)
 とするなら、チャップリンの夢はなんだったのか。彼はすべてのひとの力になりたいと言っていたが,すべてのひとの幸せを夢見ていたのだろうか。
 マザー・テレサ(1910~1997)については、列聖されても不思議ではないほどの聖者のような方だから,彼女の夢を僕たちがあれこれ考えるまでもないだろう。
 《(マザーは)1950年から修道会設立の許可を得た。これが「神の愛の宣教者会」である。テレサによれば、同会の目的は「飢えた人、裸の人、家のない人、体の不自由な人、病気の人、必要とされることのないすべての人、愛されていない人、誰からも世話されない人のために働く」ことであった》(wiki による)
 ベルジェが挙げた人たちの夢,本当に実現できたら、地球上に真の平和を迎えることができるだろう。まずは,キング牧師の夢の一歩,アメリカ合衆国の黒人大統領の誕生を評価しよう。次に,師の究極の夢、肌の色で差別のない社会の誕生を期待しよう。

三人

フランスを代表するシンガー・ソング・ライター三人(ベルジェの没後妻のフランス・ギャルが出版した写真集『幸せが存在するなら』から転載)。左から,ベルジェ、フランシス・キャブレル,ジャン=ジャック・ゴールドマン
 この歌をベルジェは,ユーチューブで,愛妻のフランス・ギャルと歌っている。この映像も、少しオーバーかもしれないが,涙が出るほどいい。というのは、この『かなえてやろうよ,夢を Laissez passer les rêves』は1992年の発表だからだ。この年,ベルジェは,テニスをしているとき,心臓発作にみまわれ,急死してしまう。45歳の生涯だった。

 『夢見るシャンソン人形』で大ヒットを飛ばした元アイドル歌手の不幸については,このブログの「モンマルトルの墓地(2)」
http://scipion.blog60.fc2.com/blog-entry-65.html
で書いています。どうかご覧下さい 。

このYOUチューブ映像はそんな不幸も知らず,幸せそうに歌っている二人の姿が印象的だ。こんな幸せそうな夫婦を見たことがないほどだ。曲調は、ベルジェ特有のきわめて都会的な、アップテンポな、軽いロックだ。耳に心地よい。

http://jp.youtube.com/watch?v=3jZeZEwUcck

「かなえてやろうよ、夢を」

          作詞・作曲 : ミシェル・ベルジェ

かなえてやろうよ、夢を
ジャッキー・チェンの夢、ルーサー・キングの夢
朝日が昇るといいね
思い描いたとおりのまっさらな世界にさ
前進すればするほど、空間が必要なのさ
やたら空気が足りなくなるし
地獄を忘れるには天国が必要だし

かなえてやろうよ
かなえてやろうよ、夢を
かなえてやろうよ
かなえてやろうよ、夢を

踊り狂う馬鹿たちを通してやろうよ
幻想だって敬意に値するさ
さもないとひいきの引き倒し

かなえてやろうよ
かなえてやろうよ、夢を。ねえ。

かなえてやろうよ、夢を
テレサの夢、チャーリー・チャップリンの夢
俺たちのヴィジョンが厄介払いしちまえばいいね
知らない奴の重しとか、見え見えの将来なんかを
神秘をふくらませなくっちゃ
地球を忘れるには月を見なくっちゃ

かなえてやろうよ
かなえてやろうよ、夢を
かなえてやろうよ
かなえてやろうよ、夢を

スチーブンソン、ジュール・ヴェルヌ、ジョージ・オーウェル
「娘たち」の絵を描くピカソ
小説を書くエドガー・ポー
空を捕まえようと
必死で羽をばたつかせる鳥人間

かなえてやろうよ
かなえてやろうよ、夢を
かなえてやろうよ
かなえてやろうよ、夢を

かなえてやろうよ
かなえてやろうよ、夢を
かなえてやろうよ
かなえてやろうよ、夢を

かなえてやろうよ。

(注)
☆スティーブンソン : この名前の持ち主はたくさんいるが,文脈から、『ジキルとハイド氏』『宝島』などの作者、イギリスはスコットランドのロバート・ルイス・スティーヴンソン(1850~1894)と思われる。
☆ジュール・ヴェルヌ : 『八十日間世界一周』『海底二万里』等々で有名なフランスの作家。
☆ジョージ・オーウェル : 『カタロニア讃歌』『1984年』などで知られるイギリスの作家(1903~1950)
☆エドガー・ボー : 『黒猫』『アッシャー家の崩壊』等で知られるアメリカの作家(1809~1949)
☆鳥人間 : おそらく、1912年にエッフェル塔の第一展望台から,手製の翼を付けて飛ぼうとした Rewichelt のことと思われる。残念ながら,翼が開かず,彼は地面にたたきつけられた。約30センチメートルの穴があいたと言う。

 注で挙げた人たちの夢については、ここでは立ち入らないことにしよう。話し出したら,きりがなくなりそうだから。いや一言だけ言おうかな。オーウェルの『1984年』は、この歌とは正反対の夢のない世界、全体主義の世界を描いていて興味深い。
 みんな面白い作家ばかりで、ベルジェが好きだったのだろう。
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ポップ・フランセ | 18:09:41 | Trackback(0) | Comments(0)
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