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フランス、18歳は新聞タダ
 2月23日付けの朝刊だから、もう一週間以上前になるが,毎日新聞のメディア欄(28ページ)に、次のような見出しがあった。

新聞タダ

《「18歳新聞タダ」仏紙を救えるか・・・一石二鳥狙うサルコジ大統領
 サルコジ大統領は1月末,若者の新聞離れ防止と、経営難の続く仏メディア支援策の一環として、選挙権を得て成人となる18歳の若者すべてに1年間、日刊紙を無料配達する政策を発表した。日本では考えられないメディア支援策。仏メディアの事情を探った》

 毎日新聞をお読みの方は「ああ」と膝を打つに違いない。
 ご存知のように,フランスでは成人年齢が18歳だ。だから、美術館など18歳以下は成人ではないので無料が普通で,18歳以上26歳未満が若者割引の対象となる。酒やタバコに関しては年齢を気にしたことがないが,たぶん14~16歳が目安かもしれない(いずれにしても厳しくはない)。



 もちろん,選挙権は18歳からだ。そのためでもないだろうが、サルコジ大統領の打ち出したこの度の政策は、かなり思い切ったものだ。フランスらしいと言えばフランスらしい。というのは、東洋の端から見ているにすぎないが,フランスは日本と違い,いろいろな法案が通り,実行され,すぐまた廃止されるというように、臨機応変と言うと聞こえがいいが,見方によっては朝令暮改となじられそうな政策も多いようだ。
 さてこの度の政策,うまくいくのだろうか。
 実はこの「18歳無料案」、大統領のオリジナルではなく、フランス最大の地方紙「西フランス紙」(80万部)はすでに3年前から実施しているということだ。これはもちろん、「西フランス紙」の経営戦略のひとつで,若者に新聞を読む癖を付けて,そのまま購読を続けて欲しいからだ。記事によると、定着率は15%で,予想を上回ったらしい。
 フランスの新聞は、他にもあるだろうが少なくとも二つの理由で,購読率を高く維持するのが難しい。ひとつは,基本的に宅配ではない,ということだ。日本のように、読もうと読むまいと毎朝夕山のように新聞が配られ、しかも勧誘合戦が火花を散らすというようなことがない。特に『ルモンド』などの全国紙は9割近くが駅売りだそうだ。これでは、日本の朝日新聞のように部数が伸びないのは当然だ。
 もうひとつの理由は,これもかねがね思っていたのだが,フランスの新聞は日本のと異なり「おかたい」ようだ。『ルモンド』はもちろんだが、『フィガロ』も『フランス・ソワール』も,日本的な大衆性がほとんどない。紙面には署名入りの記事が所狭しと並び,写真の割合も少ないように思える。早く言えばおもしろくないのだ。その理由は毎日新聞の記事によると、《・・・フランスにはプライバシー報道に厳しい刑法・民法があり、英国のような大衆紙がない》からだそうだ。つまり,大衆の関心をもっとも引くようなスターや政治家のゴシップ報道が難しいらしい。そう言えば,先日、社会党の元大統領候補者セゴレーヌ・ロワイヤル女史が、スペインでボーイフレンドと寄り添って歩いている姿を盗撮されて、訴えてやると息巻いていた。
 そんなわけで,フランスの新聞は購読料だけでは到底やって行くことはできない。だから,他に収入源を求めるのは必定だ。これまた二通りある。ひとつは資本家からだ。たとえば、この記事によると、『ルモンド』の大株主は航空機・メディア大手の「ラデガール社」、左派の『リベラシオン』が、驚くべきことに銀行家の「ロチルド氏」(「ロトシルド」の間違いではないのか、と思ったらやはりそうだった。いわゆる英語の「ロスチャイルド」)、『フィガロ』は航空防衛企業のダッソー社会長「ダッソー氏」だそうだ。こうなると、これら資本家の意向に反する記事が書けるのか、と思わず心配してしまう。一応、紙面への直接介入はないことになっているが,どうだろう。
 もうひとつの資金源は,政府による支援だ(今まで直接・間接あわせて年1740億円)。これまた反政府キャンぺーンは健全に機能しているかどうか,いらぬ心配をしてしまうが,『ルモンド』を初め,筆鋒の鋭さは有名だ。
 そんな仏紙のなかで,唯一、何の援助もなく,広告もなく、購読料だけで成り立っているのが,有名な『カナール・アンシェネ』だそうだ。スクープもさることながら,痛烈な風刺で有名なこの新聞社のニコラ・ブリモ氏が援助や政府介入を否定するのも当然だ。この「鎖でつながれたアヒル Canard enchaîné」だけが、資本家と政府の鎖でつながれていないのも、強烈な皮肉ではある。
 さて、サルコジ大統領の政策,若者の活字離れ・新聞離れ防止とメディアの経営難克服の奇策となるかどうか。すでにこの1月から始まっている。効果のほどが楽しみだ。
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雑感 | 13:20:28 | Trackback(0) | Comments(0)
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