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石田明生

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「いらっしゃい」と「いらっしゃい、こんにちは」
4月18日(土)

 新学期が始まったこともあり、勤め帰り、以前からよく使っていた立ち食いそば屋に久々寄った。4ヶ月ぶりだ。この店、味が特別良いというわけでもないし、特別安いわけでもない単なるチェーン店だが、結構気に入っている。駅構内の立ち食いそば屋さんならではのスピードと、あの何とも言えないかき揚げの味・・・家庭ではもちろんのこと、天ぷら屋でも味わえない少々下品な食油の味と、揚げ過ぎた焦げ目の色合いがいいのだ。
 理由はもうひとつある。挨拶言葉だ。接客態度に関しては、約3年前から通って見ているが、数ヶ月で変わるアルバイトの若い女の子も、ずっと勤めておられる女性の方も、愛想を振りまくどころかむしろ無愛想なのだが(当たり前だ。飲み屋ではない!)、挨拶の文句が良かったのだ。食券を買って入って行くと「いらっしゃいませ」というのはもちろんだが、食べ終わって外に出るとき、「ありがとうございました。行ってらっしゃい」と言う。この「行ってらっしゃい」には、最初驚いた。
 この表現、ちょっとくどいのではないか、と思ったが、毎週のようにさらりと言われるとそれほどではない。なんだか、この店を出て、一週間したら「ただいま」とでも戻りそうな、そんな気配だ。


 さて、今日久々店に入ったら、「いらっしゃいませ、こんにちは」と挨拶を投げかけて来た。もちろん他の客にもそう言っている。以前からそうだが、店はお二人で経営している。お一人は、ずっと前からいらっしゃる女性で、もう一人は年配の新顔だ。どちらの人が言っているのだろうか。それともこういう経営方針になったのだろうか。
 この「いらっしゃいませ、こんにちは」は、近くの薬屋で経験済みだ。薬屋と言っても昔の「薬局」ではなく、かなりの店を展開しているチェーン店で、薬屋とは名ばかりでスーパーと言っても過言ではないほどに、さまざまな商品を扱っている。ビール酒類はもちろんのこと、米からさまざまな食品、あげくの果てに電球や文房具まである。一度安いので豆腐を買ったことがあったが、賞味期限前から傷んでいた。そこで店にその品物を持って行って、店員のおねえさんににおいを嗅いでもらったが、「わかりません」と言うばかり。らちがあかないので、仕入れ先に連絡するように言って渡した。2・3日後、豆腐屋から電話があった。驚いたことにかなた平塚のほうで製造しているとのことだった(店はさいたま市)。電話の内容は「なんらかの都合で配達が遅れて、傷んでしまった。申し訳ない」の一点張り。ぼくが、「配達が遅れようが遅れまいが、賞味期限前に傷んでいるのはおかしいのではないか」といくら主張してもきいてくれない。そのうち店のほうから挨拶すると言う。が、それ以降店からも製造元からもいっかな連絡がない。僕も面倒だからそのまま放っておいた。僕が買った傷んだ豆腐、他の客も買っただろうに文句はなかったのだろうか。それともこの店の店員のように、傷んだ豆腐の臭いを知らないのだろうか。確かに、あの程度の痛みでは体調を崩すことはあるまい。事実僕自身口にしたが、気持ち悪いだけで問題はなかった。
 またまた、話が脱線してしまった。要するにこの薬屋の店員は客が入って行くと、顔をそむけながら「いらっしゃいませ、こんにちは」を連発するのだ。ほとんど抑揚のない発声法で「いらっしゃいませ、こんにちは」と言っているさまは、まるでロボットのようだ。
 心を込めた「いらっしゃいませ」の一言に、あるいは明るい声の「こんにちは」の一言に飢えているのは僕だけだろうか(というくせに、僕は客としてはまったく無愛想な部類だ。悪しからず)。歓迎の言葉をいくつ並べても、発声に心がこもっていなければ、客と店員のあいだに寒々とした関係だけが横たわるのではないだろうか。もっとも、経営者としては、客と店員の関係が過剰に密になることをおそれているのかもしれない。だから、慇懃でありながら、距離を保つ挨拶法を研究しているのだろう。
 久々立ち寄った駅構内の立ち食いそば屋さん、3分5分で食事を済ませようとする忙しい客に心を込めた挨拶などもちろん必要ない。「いらっしゃいませ、こんにちは」でじゅうぶんかもしれない。が、僕に言わせれば、じゅうぶんすぎるのだ。やはり今までのように簡単に「いらっしゃいませ」だけのほうがいいのではないだろうか。
 一種の冗語法とも言えるこの「いらっしゃいませ、こんにちは」、もしかすると今まで以上に丁寧に客と接するように上から指導があり、こう言うようになったのかもしれない。もしそうなら、とても残念だ。この店の帰り際は「行ってらっしゃい」なのだから、入ってくる客には、短く「いらっしゃい」のほうが、馴染み客の感じがしていい。第一、朝や夜には何と言っているのだろうか。「いらっしゃいませ、おはよう」「いらっしゃいませ、こんばんは」と、時間で使い分けているのだろうか。それは煩瑣ではないか。とはいえ、どこかの薬屋のように、時間にかかわりなく「いらっしゃいませ、こんにちは」ではあまりに味気なさ過ぎるだろう。
 えっ? 朝か夜に寄ってみたらですって? 今までもそうだったが、この立ち食いそば屋さんには、昼食時以外に入ったことがないし、残念ながらこれからも朝や夜に入りそうもない。昼間のスタッフの人がずっと仕事をなさっているとは思えないから、たぶん、朝と夜には違うスタッフの人がいらっしゃるのだろう。もしかすると「いらっしゃいませ、おはよう」組と「いらっしゃいませ、こんばんは」組がいるのかもしれない。それなら、めんどうではないかも。
 そんなバカなことを考えているうちに、新学期が始まった。
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雑感 | 17:36:58 | Trackback(0) | Comments(0)
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