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石田明生

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フランス、日曜営業の是非(1)
8月27日(木)快晴
 セーヌ河にサケが戻ったといううれしいニュースがフランスから届いたと思ったら、「商店の日曜営業合憲」という暗いニュースが飛び込んできた。まあ、日曜に商売するのは、宗教国家ではないのだから憲法違反だとは思わないけれど・・・問題は本当に営業するかどうか、ということだ。
 日本では日曜日こそ「あきないの日」とばかりに、デパートからスーパーまで商売に余念がないが、フランスも本当にこうなってしまうのだろうか。


 日曜どころか、一日中24時間買い物ができる日本人にしてみると、日曜がほぼいっせいに休みとなるフランスの生活はおそらく不便きわまりない、異星の出来事のように思えるかもしれない。僕自身も、初めてパリに行った頃、日曜の一斉閉店にはとまどったし、ひどい目にもあった。たとえば、その頃ヘビースモーカーだったので、日曜日にタバコひとつ買うのに地下鉄を乗りまくったほどだ。タバコの自動販売機などなかった(多分今でもない)から、タバコ屋(多くはカフェ・バールが兼業)が休むと、近くでは絶対に手に入らなくなり、オペラ座界隈の、いわゆる観光地まで行かなければならなくなる。もちろんそれを知ってから、土曜日に買い置きするようになったけれど。
 もうひとつ日曜の不便さを挙げれば、乗り合いバスがある。かなりの路線が、日曜日に運行しなくなる。バスの本数が減る、というなまやさしいものではない。ゼロになる。思い切ったものだ。ちなみにメトロは本数が半分になるが、もともと本数が多いのでそれほど不便を感じない。
 ところが、何回もパリに行き、パリの生活に慣れると、「日曜の不便」というものが、決してマイナスばかりではないことに気付くようになる。なによりも町そのものが、あわただしいビジネス臭がなくなり、静かな落ち着きを取り戻し、散策や、美術館見学(日曜は半額だったり、無料だったりする)や、古本市、蚤の市めぐりに最適の環境となる。もちろんカテドラルや教会に足を運べば、荘厳なミサに立ち会うこともできる。
 覚えるとうれしくなるのが、日曜の朝市だ。とりわけ、バスチーユの朝市は活気があって楽しい。八百屋さんや肉屋さん、チーズ屋さんや魚屋さんの陽気な呼び声は、メカニックあるいはエレクトロニックな一方通行の音とは違う掛け合い可能な肉声だ。露天から露天を流して歩く喜びは、デパートやスーパーでエスカレーターに乗って各階を物色して歩くショッピングの楽しみとは本質的に違う。人の間尺に合った、触れ合うような関係がそこにはある。
 また、ウィンドー・ショッピングも日曜の楽しみだ。閉店している店の静かなウィンドーをゆっくりと覗けるのも、日曜ならではだ。疲れたら、公園に行けばいい。のんびりと芝生にでも寝転がって、ぼけーっとしたり、ぼんやり本や雑誌のページをめくる。実際、公園に行くと、読書している人たちがたくさんいる。彼ら、フランス人は、海岸や、草地で寝転がって読書(あるいはクロスワード)をするのが好きだ(*)。ジョギングの人は別にして、パリの公園の人たちはのんびり屋に変身する。
 もちろん、日曜日は家であるいは郊外のセカンドハウスでくつろぐパリっ子たちのほうが数多いだろう。だから、交通機関が極端に少なくなるのだ。家族で集まって、大切な日曜日を過ごすのは彼らの伝統的なライフ・スタイルだ。
 こんなパリの日曜日が変化するのだろうか。
 デパートやスーパーが日曜に店を開いたとして、家でぐうたらを決め込むパリッ子たちを集めることができるだろうか。彼らの「日曜日」を変えることができるだろうか。よく言われることだが、フランス人は、ファッションや芸術・文化に関しては常に斬新なものを発表して世界を驚かせるけれども、ことライフスタイルに関しては保守的だ。喜ぶのは観光客だけのような気もするが・・・
 七日に一度の静かな日、パリに限らないし、多分フランスに限らないだろうが、そのかけがえのない週に一度の休日をいつまでも大切にして欲しい。

*対して、日本人はどうだろうか。僕の家の近くの公園では、寝転がって読書している人は見たことがない(いるとしてもまれ)。多いのは、バーベキューをする人、ボール(フリスビー)遊び、(僕はうるさいので大嫌いなのだが)無線で動かすミニカー遊び、などなどだ。日本人のほうが、公園で余暇を過ごすのも活動的かもしれない。
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雑感 | 05:07:35 | Trackback(0) | Comments(0)
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