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石田明生

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秋の夜長
 秋の夜長、このブログで以前取り上げたことのある映画『モンテーニュ通りのカフェ Fauteuils d'orchestre』を再び見る機会があった。内容については、拙文をご覧ください(渋谷で「パリ散歩」・・・映画『モンテーニュ通りのカフェ』投稿日:2008-05-06 Tue)。
 再度見てもやはり楽しく鑑賞できたが、このたびの関心の中心は、実を言うと映画の内容云々ではなくて、以前映画館で見た時の重要な疑問を解決することにあった。館内でこの映画を見ているときに、あるシーンに「変だな」という不思議な違和感があったのだが、劇場でのことなので確かめようがなかった。自信がなかったので、ブログの中でもそれについては言及しなかった。が、今や明らかになった。


 それは、売れっ子ピアニストのルフォールが満員の聴衆を前に演奏しているシーンだ。巨匠という肩書きにうんざりし、クラシック音楽という気取った世界と縁切りをしたがっていたピアニストはやおら演奏を中断し、立ち上がる。彼はその堅苦しいタキシードとワイシャツをピアノの下に脱ぎ捨てて、下シャツ姿のままで演奏を再開する。まるで肉体労働者のような下シャツ姿のピアニスト、そんな彼が演奏する重々しい『皇帝』は拍手喝采の大成功を納める。

脱いだとき
ルフォールはやおら立ち上がり、着ているタキシードとワイシャツを脱ぎ捨てる。

 問題はその脱ぎ捨てられたタキシードとワイシャツの位置だ。脱ぎ捨てられた衣服が、演奏中に左にずれているのだ。まさか演奏中誰かがずらしたとは考えられない。ということは、監督のミスということになる。

演奏中1

演奏終了
演奏終了時、脱ぎ捨てられた衣服が左にずれている。カメラ・アングルの問題とは考えられない。

 この手のミスは、どのくらいの重みがあるのだろう。僕も翻訳本だが、本を出版したことがある。本が店頭に並んだ後で見つかる誤植に何度ほぞを噛んだことがあるか。上の写真でご覧の通り、これほどのミスだと、誤植の文字レベルではないかもしれない。相当大きなミスだ。後で知った監督や関係者はどれほどのショックを受けただろう。今は、かつてのように映画館でまさに一期一会のように映画を鑑賞するのとは違って、ビデオで何度も見なおすことができる。それだけにカメラマンや監督は細心の注意が必要な筈なのだが・・・製作総指揮のアラン・サルド氏はどれほど悔しがったことか。
 この手のミスは、どれほどあるのだろうか。みんなで探して、寄せ合ったら意外と多いかもしれない。僕はあの巨匠エリック・ロメールの映画でミスを見つけたことがある。書物なら文字一つの誤植レベルのミスだから、たいしたことではないが・・・そのため映画館内では全く気づかなかった。ビデオを見て気がついたのだ。作品は『緑の光線』。
 この映画のヒロインは、何に関しても思い切りがなく、度胸がなく、そのくせ誇りはあって主張だけはするものだから、どこにも自分の居場所を作ることができない。仕方がないので、ヴァカンスを過ごしていた海からしょんぼり一人パリに帰ろうとする。すると、駅で今までよりも「ましな」男と出会う(少なくともドストエフスキーの小説『白痴』という題名を知っている)。さて、その青年とのカフェでのシーンが問題の箇所だ。
 彼は、いわゆるドゥミ・・・250ミリ入りの生ビールを飲んでいる。フランス人らしく、そのわずかなビールをちびちび飲んでいるが、一度だけ全部飲み干しそうなくらい、ぐっとコップを横に傾けた。が、まだ飲みきらない。コップの底に少しビールが残る。と、こちらは見ていたのだが、次の場面でコップに残るビールの量が増えている!!! 何度も繰り返して見たが、増えている。お代わりをした様子はない。ロメールにして、こんなミスがあるのかと、変に感心してしまった。

ぐいっと
残ったビールは少量の筈だが・・・

その後
意外と量が多い。

 ちなみに、「緑の光線」とは海に太陽が沈むとき、光の屈折の加減で水平線の光が緑になることだ。いろいろな条件が重ならないとその現象は起こらないので、滅多に見られないらしい。この映画の元となったジュール・ヴェルヌの小説『緑の光線』は、遠く、スコットランドの西北に見に行く話だ。
 さて、映画の製作上のミス、話によるとハリウッドものではしょっちゅうあるらしいが(たとえば、同じ場面なのにシャツの色が変わっていたなど)、見つけると、うれしくもあり、悲しくもあり・・・複雑な思いだ。
 この拙文をお読みの方の中でも、同じ経験をされておられるかもしれない。
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雑感 | 17:30:40 | Trackback(0) | Comments(0)
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