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石田明生

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パリはメトロポリタンな町
 今回はパリのメトロを紹介します。メトロの駅、電車、ホーム、通路、そんな視点からパリという町が垣間見えれば、それも異文化発見につながるかも知れません。
 まずは典型的なメトロの駅です。下の3駅のようなホームがほとんどですが、まわりの街の雰囲気に合わせた個性的な駅もいくつかあります。それは〈続きを〉をご覧下さい。

表紙Edger-Qunet.JPG

6号線「エドガール・キネ駅」のホームとデパート「ギャルリー・ラ・ファイエット」の広告
ベンチは陶器製が多く、その間隔、色、形は駅ごとに異なる
キネ(1803~75)は作家、哲学者で後に国会議員となる


カリブの海賊.JPG

5号線「ローミエール駅」ホームと映画『パイレーツ・オブ・カビリアン』の宣伝ポスター
(ポスターのサイズは全て同じ)
ヴェルネ・ド・ローミエール(1812~63)は第二帝政時代の将軍、メキシコ遠征に参加


Place Monge.JPG

7号線「プラス・モンジュ駅」
手前のホームには後ろから電車が来る、つまり必ず右側のドアが開く
ガスパール・モンジュ(1746~1818)は数学者(幾何学)、後ナポレオンと出会い、エジプト遠征の際、調査団の長となる



 ご存知の通り、パリはメトロが極めて発達している町です。どこの街を歩いていてもちょっと気をつけてまわりを見回すとたいていメトロの駅があります。

メトロのマーク.JPG


ラスパイユ.JPG

典型的なメトロのマーク
上が「アルマ=マルソー駅」下が「ラスパイユ駅」


小心君.JPG

「線路内に立ち入ると死亡事故につながります」
向かいのホーム下にあるプレート
車内.JPG

7号線b(7号線の枝線)の車内
誰も腰掛けていないので椅子が上がった状態になっている
乗客は椅子を下ろして座るが混んで来たら、立ち上がるのがマナー
この椅子をスタンポンと言う



 それもそのはず、東京で言えば山手線ぐらいの規模の町に297の駅があり、現在14の線と郊外から地下に入るRERという郊外線、A~Dの4線があるからです。駅と駅の間隔は平均300mだそうで、確かに乗っているとたいてい30秒から1分以内に次の駅に到着してしまいます。

「モンパルナス・ビヤンヴニュ駅」
tapis roulant.JPG

「モンパルナス駅」は乗換え駅が遠いので長い動く歩道で結ばれている

モンパルナス3.JPG


メトロの父.JPG

右の壁面にメトロにまつわる記事がAからZまで書かれている
<B>はもちろんメトロの父であり、この駅名でもある技師フュルジャンス・ビヤンヴニュ
(1852~1936)についての説明
ですから、駅名「モンパルナス・ビヤンヴニュ」は「モンパルナスにようこそ」ではありません。念のため


Guimard.JPG

<G>はアール・ヌーヴォーの旗手、エクトール・ギマール
最初のメトロの入口をデザインした


ザジ.JPG

<Z>はもちろん小説『地下鉄のザジ』の一節が取り上げられている
「噫(ああ)!パリ!」思い入れたっぷりな調子で言う。「なんて美しい都会(まち)だ。見たまえ、きれいだろう」
「どうだっていいわよ」ザジは言う。「あたしは地下鉄で行きたかったの」
『地下鉄のザジ』(レーモン・クノー著)生田耕作訳〔中公文庫 P.11〕



 パリのメトロは万博の年、1900年にその1号線が開通しました。パリを東西に走る、いわばパリの都市軸となる、凱旋門(エトワール広場)、シャンゼリゼ、コンコルド広場、ルーヴル、オテル・ド・ヴィル(市庁舎)、バスチーユ、リヨン駅、ナシヨン広場、ヴァンセンヌを結ぶ、現在でも最も乗客の多い線です。その後次々と新たな線ができて1913年には10号線まで、1929年には13号線まで完成したそうです。最後の14号線は新しい国立図書館が完成し、その名前がフランソワ・ミッテランと名付けられたのと同時の1998年にそのフランソワ・ミッテラン駅からマドレーヌ教会までできました(現在はサン・ラザール駅まで延長)。
 この14号線のホームは東京の南北線と同様にホームがガラスの仕切りで線路と仕切られています。そのために乗客が線路上に転落することはありません。
 乗客に転落の心配がなくなったのなら、運転手はもういらない、ということでしょうか。この14号線の電車は完全に無人状態で走っています。運転手のいない電車がホームに入って来るのを見るとなんとも不思議な気がします。しかもリヨン駅とシャトレ駅の間(3ないし4駅分くらい離れている)を猛スピードで走ります。

駅の入口.JPG

駅の自動改札口、入口のみ

出口.JPG

出口はそのままフリーで出られる
自動ドアーではない手押しのドアーもある


 実はパリのメトロはこの14号線だけではなく、他の線も全て自動化されています。ですから、他の線には運転手こそいますが、彼らはただ漫然と運転席に腰をかけている、という印象を与えます。運転手の仕事はドア閉めと電車を出発させることだけだそうです。自動化のせいでしょうか、確かに電車の停車位置はいつも判で押したようにぴたりと同じです。私の最寄り駅は一番前に階段があるのでいつも先頭車両に乗ります。そのためにその正確さがわかります。

メトロの運転手.JPG

11号線のキャミソール姿の女性運転手
カメラを向けると、恥ずかしそうに・・・


 運転手(バスのも)はフランス人の制服嫌いを反映しているのでしょうか、制服姿を見たことがありません。そもそも制服というものはあるのでしょうか。ちなみにバスの運転手もそうですが、女性運転手の割合が大変高いのに驚きます。

 メトロは朝5時から翌朝の1時までひっきりなしに(2分から4分おきに)走っています。日曜・祭日は本数が約半分になります(5分から6分おき)。

待ち時間.JPG

メトロには時刻表はなく、待ち時間が書いてあるだけ
写真は[00]だから電車の到着する瞬間。日曜日なので次の待ち時間が[06]になっている


 運賃はバスも兼用で切符一枚、1.4ユーロ(1ユーロ約150円)で、10枚綴りのカルネが10.9ユーロ、1週間のあいだバスもメトロも乗り放題のカルト・オランジュ(オレンジ・カード)またはスイカのようなワンタッチの読み取りカード(ナヴィゴ navigo と言います)が16ユーロです。
 このメトロの切符は大変スグレモノです。というのも、何年でも使用が可なのです。10枚綴りの切符が余っても翌年も翌々年もその先でも使えますのでご安心下さい。もちろんバスについても同様です。


 では、個性的な駅を紹介しましょう。たとえば「ルーヴル=リヴォリ駅」は美術館があるからでしょう。美術品が展示されていて「美」への関心が高まります。

駅名.JPG


ホーム.JPG


ディアナ.JPG

ギリシャ美術「ディアナ像」
美術館ではありません。駅のホームです。念のため


獅子面神.JPG

エジプト美術


「バスチーユ駅」の1号線ホームは地上
バスチーユ駅.JPG

革命勃発の地、バスチーユはもちろんその絵物語がタイルに描かれている

壁全体.JPG


パン屋.JPG

1789年10月6日、群衆はヴェルサイユから国王一家を連れて来て
「パン屋の親方とその女房、小僧を連れて来た」と叫んだ
ルイ16世と王妃マリー=アントワネットは二度とヴェルサイユに戻ることはなかった


 1879年10月5日、パンを求めて女性の一団がパリ市庁舎前に集結して、食料確保のためにヴェルサイユに向けて行進します。その数、女だけで6・7千。結果は「バスチーユ駅」の通りです。その「パリ市庁舎駅(オテル・ド・ヴィル駅)」のホームの壁にはパリの近・現代の歴史を物語るポスターが貼られています。

オテル・ド・ヴィル.JPG


歴史.JPG


紋章.JPG

パリ市の紋章、ラテン語で「たゆたえども沈まず」と書かれている


「サン=ジェルマン・デ・プレ駅」
地上に出れば、芸術家のたまり場サン・ジェルマン・デ・プレ教会あたり、かつて実存主義者や芸術家が入り浸っていたカフェ「カフェ・デ・ドゥ=マゴ」や「カフェ・ド・フロール」が軒を列ね、ヘミングウェーが足繁く通ったブラッスリー(ビヤー・ホール)「リップ」が向かい合っています。今は観光地となった前衛の街、サン=ジェルマン界隈。あくまでも美しいロマネスク様式の「サン=ジェルマン・デ・プレ教会」、その横に本当に小さいですが、「サルトル・ポーヴォワール広場」があります。

St.Germain3.JPG


影文字.JPG

白いタイルに影文字が浮かび上がる仕組みになっている
ちなみに、訳すと《バスチーユは、庶民的で、今はやりで、ブルジョワっぽいごたまぜの街だ、それはとっても・・・な場所」という感じか。これはひょっとしたら映画『猫は行方不明』のシノプシスだろうか
というのは、今回この駅の影文字の文言は映画関係のものだったから(以前は詩人の詩句だった)


 「クリュニー美術館」とパリ大学「ソルボンヌ」のある駅は・・・「クリュニー・ラ・ソルボンヌ駅」

Cluny.JPG

駅名の文字が美しい

Moliere.JPG

壁や天井は「モリエール」のサインを始め、作家文人のサインだらけ



 「国立工芸院 ARTS ET METIERS」と「国立技術博物館」のある「アール・ゼ・メチエ駅」は、銅ぶきの壁にかこまれ、潜水艦の中にいるような気分になります。

駅に3人.JPG


窓.JPG

潜水艦の窓から見えるのは橋の模型

ゴミ箱.JPG

ゴミ箱も銅ぶき

ベンチ.JPG

もちろん、ベンチも


 ベンチと言えば、アール・ゼ・メチエ駅のもそうですが、駅によってはしゃれたベンチに出会うことができます。

St. Paul1.JPG


St.Paul.JPG

「サン・ポール駅」のベンチと気軽に立ち寄れるオシリ半分用のベンチ

デファンス.JPG

「エスプラナード・ド・デファンス駅」の金属製のベンチ、この駅は新都心デファンスの一つ手前にある

ベンチ2.JPG

先ほど紹介した「サン=ジェルマン・デ・プレ駅」の木製のベンチ



 階段を降りると、そこに広がるのは独特のメトロポリタンな世界、どこからか音楽が聞こえて来ます。世界中から集まったミュージシャンたちが地下の通路で、ホームで、車内で演奏しているからです。メトロは、公園や道路と同様、ミュージシャンにとって自己表現と生活のための大切なステージなのです(注)。音楽の種類もクラシックから民謡、シャンソンからジャズとさまざまです。
(注)あまりに多くの音楽家が演奏するようになったので、数年前から許可制になりました。オーディションの合格者、年間300組に許可が与えられているそうです。

メトロ音楽家.JPG

地下の通路で歌う《アニエス・ビルとアレクサンドル》
CD『パリの地下鉄』の表紙


クラシック.JPG

最大の地下鉄駅「シャトレ駅」にある、人気ステージでヴィヴァルディの『四季』を演奏する

ルヴォフ.JPG

スラヴ音楽でパリジャンを魅了するウクライナのグループ《ルヴォフ》

【おことわり】上の2点の写真はNHKで放送した『地球に乾杯・・・地下鉄ミュージシャン』から転載させていただきました。
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パリ散歩 | 18:26:29 | Trackback(0) | Comments(4)
コメント
素敵ですね
かみきり虫(?)と地下鉄のザジ(すっごくお洒落な会話ですね)がとくに
気に入りました。
まさにコンテンポラリーアートなんですね。
2006-10-03 火 20:42:34 | URL | koharu [編集]
 koharu さん、「スキピオの夢」にようこそ。grillon は「コオロギ」ですが、それらしくないですかね。

 さて、地下鉄に乗りたかったのにストライキのためにザジは乗れません。パリ滞在はたったの二日間、彼女は地下鉄に乗れるでしょうか?
《「ところでこのストはいつになったら終わるの」言葉を狂暴性でふくらませてザジがたずねる。
「わからんね」とガブリエル(ザジの伯父の名)。「政治のことはわからんよ」》(P.14)

では失礼します。またよろしく。
 Scipion 明生
2006-10-06 金 18:47:41 | URL | Scipion 明生 [編集]
懐かしいです
どれもいい写真だと思いました。93年にバスティーユのアムロ通りに住んでましたのでパリの生活を懐かしく思い出しました。メトロの駅もかなり様代わりしているようですが基本的にはやっぱりパリのメトロはかっこいいなあと思います。ちなみに運転手が制服を着ていないのは、おっしゃる通り嫌いだからだそうです。
(毎日のように飲みに行っていた、ビストロの常連にメトロの運ちゃんがいて、僕も不思議に思っていたので聞いてみたら、「制服はあるけど嫌いだし誰も着てないから着ない」)という事でした。
2007-06-26 火 12:06:30 | URL | ht93335 [編集]
こんにちは。「スキピオの夢」に遊びに来てくださりありがとうございます。
そうですか、アムロ通りにいらっしゃったのですか。バスチーユから「冬のサーカス」のほうにぶらぶらと歩いたことがあります。
ところで、運転手の制服のことですが、貴重な情報をありがとうございます。というのは、制服というものがあるのかどうかわからなかったものですから。やはり、あるのですね。
では、失礼します。
2007-06-26 火 20:07:22 | URL | スキピオ [編集]
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