■プロフィール

石田明生

Author:石田明生
ホームページの方もよろしくお願いします。
文学雑感、旅行記、翻訳などを載せています。

■4travel

スキピオの旅行記(写真付き)もごらんください。

■最近の記事
■カテゴリー
■最近のコメント
■月別アーカイブ

■最近のトラックバック
■リンク
■アクセス解析

■ブロとも申請フォーム
■ブログ内検索

■RSSフィード
米欧か欧米か
 おとといの朝刊のことで恐縮だが,「余録」で次のような一文に出くわして、ちょっとかゆみを感じた。

《今回のアクセルペダルの不具合によるリコールは米欧や中国で約445万台にのぼる》(2月4日の毎日新聞の朝刊「余録」より)

 これは言わずと知れた,トヨタの新型プリウスの不具合についてのニュースを受けての文だ。車に乗らず、ひたすら亀のように歩き、ウサギの気分で自転車に乗っている当方にとって、プリウスだろうがメビウスだろうがそんなことはどうでもよいことだ。目を引いたのは《米欧》の二文字。
 ずっと以前から,第三国どうしを連結して呼ぶとき,どちらを先にするのか、そしてどういう基準でそれを決めるのか関心を抱いていたからだ。
 余録子が用いた《米欧》は、今まで慣れ親しんでいた「欧米」をふまえて,あえて使っているのだろう。などとぼんやり考えながら,6ページ目の国際面を開いたら《イラン制裁へ米欧攻勢》なる見出しが飛び込んで来た。これは驚いた。ついに、「米」は国名の連結語において頂点を極めたのか。最後の牙城「欧米」まで駆逐してしまったのだろうか。


 「国名の連結語」といっても、ピンとこない方もいらっしゃるかもしれない。それは僕の楽しみの一つとなっていることで,新聞・テレビ等で2国間を連結して呼ぶ時、どちらを先にするかということだ。たとえば「英仏」「仏露」「独伊」「中ロ」「米中」「米韓」「印パ」「イラン・イラク」などだ。このことを誰かに話したら,「それは語呂がいいからじゃないですか」などという愚かな返答が来た。長年の観察によるとそれは決して単純な語呂の問題ではなく(音に関しては「米中」でも「中米」でも、「米韓」でも「韓米」でも慣れの問題でしかない)、歴史と親密度,あるいはそれ以上の何らかの政治的判断によるものと思われる。というのも、歴史的なつながりとして考えるならば,もっとも近しいのは「中国」か「韓国」となるはずだが、上にあげたように「米」に勝つことはできない。歴史的付き合いがもっとも古く、距離的にももっとも近い「中」「韓」よりも優先される「米」は、日本にとって最重要国であることはこの連結語を見ればわかる。対して,隣国にも関わらず「遠い」国はかつてのソ連,現在のロシアだ。「仏露」「中ソ」でお分かりのように、隣国どうしはもちろんのこと、遠いヨーロッパの国に一歩譲っている。やはり日本にとって「ロシア」は近くて遠い国なのだろうか。
 「米」を最優先国とする,この関係をいったい誰がどこで決めたのか、決めるのか。このことについて以前ある学生が・・・賢い学生だ・・・サンフランシスコ平和条約の「サイン順」ではないですか、と答えた。中華民国を「中国」とされていた「中国」を除いて、そうかもしれない。なかなか説得力のある答えだったが,サインをしていない国家どうしはどうするのだろうか。
 当時NHKの番組で「日本人の質問」というのがあった。視聴者がはがきで質問を書いて,それが取り上げられるとクイズ形式で解答者が答えるというものだ。僕はそこに件の疑問を書いて送ったことがある。残念ながらなしのつぶてとなった。NHKならば、わかりやすい説明をしてくれるものと思ったのだが・・・NHKめ!

 さて、《イラン制裁へ米欧攻勢》の見出しにつられて、内容を読むと,興味深いことに次のような一文に出くわした。

《・・・米中関係がぎくしゃくする中、中国がどの程度,欧米側に歩み寄りを見せるかが焦点になりそうだ》(同朝刊6ページ)

 なんて言うことはない,今度は《欧米》という従来の語を用いているではないか。先ほどの余録子もこの記者もまさかうっかり「米欧」を用いているのではあるまい。
 余録のトヨタ問題は主にアメリカから苦情が出て,リコールをアメリカから始めそれを欧州に広げるという内容だ。つまり「米欧」という語は事件の内容を報ずる文脈から来ていることがわかる。
 という視点でイラン制裁の記事を読むと、アメリカからフランスへという流れを受けて「米欧」の語を用いているように思われて来る。というのも、上で引用した「欧米側」を導き出す主語は「中国」だからだ。ここには「米」を優先するコンテクスト(文脈)は存在しない。
 この記事に、《英仏独の欧州3カ国》という表現があった。フランスも出世したものだとつくづく思う。かつては、「普仏戦争」というように「仏」は隣国ドイツの下の位置に甘んじていたものだったが。それに関しては、「米」も昔のまま慣用語的に後塵を拝している表現がある。「英米」だ。だが,いずれは文脈次第で「米英」が用いられるようになり、「米英」という表現が浸透し、普通になるだろう。と同時に「欧米」はいつか「米欧」になり、慣用語とおよび歴史的表現語としての「欧米」はすたれ,消え去るかもしれない。そうすれば文字としても,「米」の日本制覇が完成することになる。
 それにしても、同じ2国間を連ねるにしても,自国を入れる際どうして自国を先にするのだろうか。たとえば「日仏」「日米」「日中」のように。これを人どうしのレベルで考えると,礼儀正しい人ならばそんなことはしない。相手または第3者を先にして,自分を後にするものだ。まずは日本が、それを国家間でやったならば、ずいぶんと紳士的で魅力的な国に見えるのだが。「友愛」の首相さん、どうですか。

追記 : 結局、国名の連結語に関して,どういう基準で2国の名を前にするかいまだはっきりしない。どなたかご存知のかたがおられればご教授願いたい。
スポンサーサイト
雑感 | 11:29:06 | Trackback(0) | Comments(0)
コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

FC2Ad