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石田明生

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シャガール美術館(1)
マントンからバスに揺られること約1時間半、次の宿泊地ニースに到着。宿に着くと荷を解く間も惜しんで、シャガール美術館に向かった。
美術館は、町の背中の部分にあたる丘の上にある。登り坂を20分ほど歩くと、瀟洒な別荘地帯に入るが、美術館はそのとば口にある。

美術館 シャガール美術館


 白い平屋建ての建物が、緑の中に広がっている。館内は、さすがにシャガール自身が設計にかかわったというだけあって、美術館の規模のほどよさ、光の案配が申し分ない。そしてなによりも階段での上り下りのないワンフロワーなのはすぐれている。


 ロシアからパリへ、そしてパリからニューヨークへと、シャガールは妻ベラとともに安住の地を求めてさまよったが、そのニューヨークで、ナチスから免れた安堵感もつかの間、愛するベラを病で失ってしまう。画業の源泉だった妻の死はあまりにもつらいものだったに違いない。9ヶ月も絵筆を握ろうとしなかったらしい。
 そんな画家が、次に求めた安らぎの場はコート・ダジュールだった。温暖な気候、降り注ぐ陽光、地中海人たちの人情、そしてヴァヴァ(妻)との出会い。生来の陽気と厚い信仰心、創作意欲はここで見事によみがえった。彼はニースにほど近い美しい村ヴァンスで第二期の傑作を生み出していく。
 このシャガール美術館に納められた旧約聖書の物語は、彼の散歩途中にあった荒れ果てた礼拝堂のために作られたものらしい。晩年を迎えた巨匠の意匠の限り、厚い信仰の思い、恋情の熱さがここに凝縮されている。

夢 ヤコブの夢
イサクの子ヤコブは、兄のエサウの弱みに付け込み長子権を、
目しいの父をだまして父の祝福を奪い取った。兄の恨みを恐れて、叔父の家に逃亡する道中、ヤコブは夢を見る。
《先端が天まで達する階段が地に向かって伸びており、
しかも、神の御使いたちがそれを上ったり下ったりしていた》
こうしてヤコブは、神から子孫繁栄の約束を受け取るのだ。



 右の十字架はユダヤの民の苦難を予言しているのだろうか。主テーマとは別によく描き入れられるテーマだ。兄と父をだましたヤコブを先祖に持つユダヤ人の思いの現れか。

天使との闘い  天使との闘い
聖書には次のように書かれている。《そのとき、何者かが夜明けまでヤコブと格闘した。ところが、その人はヤコブに勝てないとみて、ヤコブの腿の関節を打ったので、格闘しているうちに腿の関節がはずれた。「もう去らせてくれ。夜が明けてしまうから」その人は言ったが、ヤコブは答えた。「いいえ、祝福してくださるまで離しません」・・・その人は言った。「お前の名はもうヤコブではなく、これからはイスラエルと呼ばれる。お前は神と人と闘って勝ったからだ」・・・こういうわけで、イスラエルの人々は今でも腿の関節の上にある腰の筋を食べない。かの人がヤコブの腿の関節、つまり腰の筋のところを打ったからである》創世記32


 シャガールは画面の右側に、最愛の息子ヨセフの物語を書き込むことを忘れなかった。右上は、兄たちに裸にされ、穴に投げ入れられるヨセフの姿と思われる。実際は、そのあとエジプトの商人に銀二十枚で売られてしまったのだ。右下には、兄たちの悪巧みで、ヨセフは野獣に食われたことにされ、山羊の血を塗られた衣を渡され、嘆き悲しむヤコブが描かれている。
 ヨセフがエジプトでどのようにして出世し、親兄弟と再会するかは別の物語だ。

天使たち アブラハムと三人の天使
三人の天使が訪ねて来た時、アブラハムは、パン菓子と子牛の料理、凝乳(ぎょうにゅう)、乳を出して歓待した。
彼らはアブラハムに「あなたの妻に男の子が生まれる」と告げる。アブラハムは百歳、妻のサラは九十歳になんなんとする高齢だ。サラは天使の言葉に「まさか」という思いでつい笑ってしまう。
それでも神の予言通り、子供が生まれる。その子は「笑い」を意味する「イサーク」と名付けられる。


 食事も終わり、天使たちを見送るアブラハムに主は「ソドムとゴモラの罪深さ」について語る。そこでアブラハムは「50人の正しい者がいても一緒に滅ぼすのか」と言う。すると主は「50人いれば町全部を許そう」と答える。アブラハムはさらに「45人では?」「40人では?」「30人では?」というふうに「10人」までその数を値切る。
 すると「その10人のために私は滅ぼさない」と主は言って去った。

 結局ソドムには、ロトとその妻、および二人の娘しか正しい者はいなかった。そのためにソドムは滅ぼされてしまう。ただしこの正しい四人だけは滅ぼされる前に町から逃がしてもらうが、「後ろを振り返ってはいけない」という神の言葉を無視して、ロトの妻は途中振り返ったために塩の柱になってしまう。
 この絵の上部と吹き出しの中はソドムとゴモラの物語を語っているのだろうか。

 シャガール美術館の詳しい旅行記は次のサイトをご覧ください。特に、シャガールの傑作「雅歌」の連作5枚について紹介しています。

http://4travel.jp/traveler/scipion/album/10450118/
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美術鑑賞 | 05:27:59 | Trackback(0) | Comments(0)
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