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石田明生

Author:石田明生
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気軽な日帰り旅行を演出する郊外列車
小振りのリンゴを丸ごとかじりながら、車窓の風景を眺めるのが好きだ
お伽の国にあるようなしゃれた家が立ち並ぶ郊外
人っ子ひとりいないどこまでも広がる畑
牛や馬がのんびりと草をはむ牧場
フランスの列車は車窓の風景を裏切らない。
そして目を転ずれば静かな車内
乗客の姿もまばらな座席シート
熱心に新聞を読む紳士
パリのどこかで恋人と一晩中踊り明かしたのだろうか、居眠りをし続ける若者
斜め向かいで、老眼鏡をかけてクロスワードに打ち込んでいる婦人・・・

車内1.JPG

《パリ郊外のポントワーズ行きの列車内・・・北駅にて》



 ゴッホ終焉の地オーヴェール・シュル・オワーズに行こうと郊外列車に乗りました。
 目当ての列車がとてもきれいで、おまけに自転車のOKのマーク、サイクリングをするわけでもないのになんだか急にうれしくなりました。

列車1.JPG
 《ポントワーズ行き・・・北駅にて》

教会.JPG
《ゴッホが描いた教会》
彼はこの地で自らの胸を打ち抜き、37歳の生涯を終えた。
この教会から徒歩で10分もかからないところに、愛する弟とともに眠る


 郊外列車はほとんど二階建てです。ですからとても座席数が多く、また床面積も広いので、郊外からの通勤客は満員電車とは縁のない快適さを享受しているのではないかと思われます(おまけに15輛はある長い車両です)。
 もちろんラッシュゆえの「痴漢問題」はないでしょうから、「女性専用車両」など論外です。
 また、表紙に「静かな車内」と書きましたが、車両が、日本のように「モハ」つまり「モ-ターの付いた車両」ではなく、(フランスではみな先頭車両が牽引するので)客車は日本で言ういわゆる「サハ」ですから、エンジン音はなく静かなのです。
 さらにそれは、客車両の下に何も障害物がないので二階建て列車を作るのを容易にしているのでしょう。
 ちなみにモハの「ハ」は「イロハ」の「ハ」で3番目を意味し「三等車両」のことです(グリーン車はもちろん「ロ」です)。また、サハの「サ」は「候(さぶら)う」の「サ」で、意のままに仕える、つまり(機動なしに)動くことだと聞いたことがあります。あるいは違っているかも知れません。どなたかご教示願えれば幸いです。

 パリの北に大聖堂の聳え立つ古都サンリスがあります。今まで二回訪れていますが、いずれも車ででした。ですから、今回電車で行こうとして、調べたらびっくり、鉄道が通っていません。
 サンリスにはシャンティイ駅前からバスに乗り換えなければなりません。それなら、ちょうどいい、シャンティイ城の見学を兼ねてダブルヘッダーといきましょう。
 パリ北駅で「サンリスまで」と言うと、通しの切符を売ってくれます。
 シャンティイに行くには、RERでも行けますが、ここはやはり北駅からピカルディー方面行きの列車に乗りましょう。列車はきれいだし、第一、早く着きます(シャンティイ駅まで二つ目で、30分くらいです)。

ter.JPG
ピカルディ-方面行きの ter 「北駅」にて

駅.JPG
列車 ter 車内


 シャンティイ駅からバスで20分ほどでサンリスのバス停に到着しました。バスから降りてビックリ、ちゃんと立派な「サンリス駅」があるではありませんか。

サンリス駅.JPG
廃線となって今は使われていないサンリス駅

サンリス.JPG
《サンリス大聖堂》
あまりに巨大で、地上からではその全容を写真に収めることができません。
そのため絵はがきから写真を転用しています。
大聖堂はヴァカンスで人気のない静かな町を俯瞰していました。


 もちろん、帰りにシャンティイ城を見学しました。城内は、コンデ美術館となっていて、オマール公が、まさに命をかけて守り集めた美術品が所狭しと展示されています。しかし、あの有名な『ベリ-公のいとも高貴なる時祷書』は、残念ながら見ることはできません。
 また、映画にもなった料理人バテ-ルの厨房も保存されていて、現在レストランになっています(映画『料理人バテール』を参照)。

シャンティイ城.JPG
《シャンティイ城》

シモネッタ.JPG
コンデ美術館所蔵のこの一枚『シモネッタ・ヴェスプッチの肖像』(伝)ピエロ・ディ・コジモ作・・・コジモは、ロレンツォ・イル・マニフィーコの弟、ジュリアーノ・デ・メディチの恋人にして、あのアメリゴ・ヴェスプッチ(アメリカ大陸の名付け親)の親戚筋にあたる、ルネッサンスの華と謳われたシモネッタに直接会ったことはなかった(彼女は22歳で逝去)。彼女の面影はむしろボッティチェッリの手によって伝えられている。だからといって、この絵が傑作であることにかわりはない。



・  ・ ・ ブルゴ-ニュへの旅 ・ ・ ・

 パリ・リヨン駅からTGVに乗り、一路ボーヌへ。城郭の中を散歩し、町の中心「カルノ広場」で昼食をとった後、まずは「オテル・デュー」見学に向かいました。
 
オテルデュー.JPG
葡萄酒の町ボ-ヌの有名な「オテル・デュー(神の館)」
キリスト教信仰厚き時代(中世)、誰に対しても門戸を開いていた病院です。


 ブルゴーニュ地方で、ボーヌからオータンに行こうとしたところ、オータンまでの直行便はなく、途中のエタンで乗り換えなくてはなりませんでした。
 でも乗換えはいやではありません。なにしろ、こちらは列車好きですから。

エタンへの列車.JPG
《ヌヴェール方面行きの列車・・・ボーヌ駅にて》


 乗り込むとコンパートメント車両でした。コンパートメントは本当に旅によく似合います。どうして日本にはないのかな?・・・贅沢すぎる?

コンパートメント>JPG
《コンパートメント車両の廊下》


6人がけの室内は清潔でしゃれていて、こんな旅ならいつまでもいつまでも続けばいいのに、と車窓の牧場や葡萄畑をぼんやり見ながら、思い続けます。
 こんなに空いているのですから、長い座席は手すりを上げれば、ぐっすり眠れそうです。

コンパ-と内>JPG
《コンパートメント室内》


 眠っているのは僕ばかりではありません。コンパートメント室内ではケータイは「おやすみなさい」・・・

ケータイ.JPG
《睡眠中のケータイ》


 もちろん、部屋から出れば、ケータイは目を覚まします。

ケータイ2.JPG
《ケータイでのおしゃべりはここで》


 単に乗り換えのためだけに存在するようなエタン駅は、ぽつんと一戸だけ立っている田舎の駅です。ですから、この駅舎の二階の窓に駅員の方が住んでおられるのでしょうか、生活の匂いが漂っています。

エタン駅.JPG
《エタン駅》
二階の窓にきれいな花が飾られていて、生活感がある。


運転手.JPG
《駅員、車掌、運転手のお三方「オレが一番男前だ」と揃い踏み》気さくな人たちでした。
堅苦しいことが嫌で、制服嫌いなのでしょうか(そもそも運転手に制服はあるのか?見たことがありません)、
車掌以外は私服です。こんなところにも日本との違いが垣間見えます。


 ここでオ-タン行きの列車に乗り換えです。2両編成の短い列車でした。

レッシャ.JPG
《エタンからオ-タン行きの列車》

座席.JPG
《きれいな車内》



 オ-タンは古代ローマのアウグストゥスの町、「ローマの妹」と言われたそうです。そして時代も下り、中世の時代になっても、「サン・ラザ-ル大聖堂」を中心に栄えました。その中でも傑作中の傑作《エヴァの誘惑》を「ロラン美術館」で見ることができました。それだけで、オ-タンに来た甲斐がありました。

エヴァ.JPG
リンゴをしっかりと握ったエヴァは、その官能的な魅力でアダムを罪の道へと誘惑します。
残念ながら、誘惑されるアダムの彫刻は紛失してしまいました。
彼はエヴァと向き合っていたそうで。


 帰りはオータンからエタンまでバスしかありませんでした。そのために、電車にひとつ乗り損なってしまいました。残念。
 ところがエタン駅で乗ったこの列車、びっくり仰天。ドアーが開いて乗り込むと、いきなりトイレの丸いドアーが正面にありました。
 今まで車両のトイレは端にあるものと思っていただけに、思わず絶句。まるで玄関にいきなりトイレがあるようなものです。しかもそれがとてもきれいで・・・

トイレ.JPG
このトイレは根本的に発想が違います。


客席のシートも、車内も清潔感にあふれ、きれいすぎるくらいです。

座席.JPG
《車内》


 ここで、好奇心旺盛な僕はとうとう我慢ができず、トイレ探索に乗り出しました。ドアーは自動ではなく、左に引く、引き戸でした。
 尾籠な写真でまことに恐縮ですが、トイレ室内をご案内します。

便器.JPG
《キャビネット内》

手荒い.JPG
《洗面所》


-結論-
結局この未来志向のトイレは車椅子に優しいということがわかりました。ドアーは広く開き、乗車口に近いからです。
-感想-
卸したてのようにきれいな車両でした。

ゴミ箱.JPG
《座席ごとにあるゴミ箱》


 どの電車に乗ってもゴミ箱は必ず設置されています。そのためでしょうか、車内はいつもきれいです。
 ちなみに町の通りにも日本と違ってゴミ箱が多く見受けられます。



・ ・ ・ パリ郊外 ・ ・ ・


 他日、デファンスからサン・クルーまで「トラム」に乗りました。これまたしゃれた車両でした。厳密には「トラム」は郊外列車とは異なりますが、ここで紹介させてもらいます。
 パリの外郭にあたる地点に2本のトラムの線があります。
 ひとつは「サン・ドニ駅」から東に延びる「T1線」、もう一本が今回紹介する「T2 Val de Seine 線」です。
 新都心デファンスからセーヌ川沿いを走って「イシ-・ヴァル・ド・セ-ヌ駅」まで、あいだに11の駅を数えます。
 運賃に関してはメトロの切符が使えますのでとても便利です。

Tramと駅.JPG
《トラム・・・T2線》


 焼失するまで、たびたび歴史に登場するサン=クルー城の庭園を散歩しながら、次の駅にある「セ-ヴル美術館」に行きました。
 公園はあまりに広大で車か少なくとも自転車がないと満喫できません。ですから、美術館に到着した時は疲労困ぱい。
 それでもあの有名なセ-ヴル焼きがところ狭しと展示されていましたから、休み休み、この時とばかり見学しました。美の極致、とはまさにここの陶磁器のことかも知れません。

駅.JPG
《トラムの「パルク・ド・サン=クルー(サン=クル-公園)駅》


 トラムの通る軌道に「踏切り」がありました。
 パリにはメトロはもちろんのこと電車の通る線路は必ず立体交差になっていて踏み切りはありません。いや、パリに限りません。たとえばシャルトル(所要時間50分位)やシャンティイ(同30分位)など、郊外にもありません。
 ちなみに、車優先社会の象徴、歩道橋もありません。

踏切り.JPG
《トラムの踏切り》


 トラムの「サン・クル-駅」のすぐ上に、サン・クルーの町はあります。こぎれいで上品な町です。こんな町にも遊び心はあるのですね。

St.Cloud.JPG
《騙し絵》

Cascade.JPG
《サン・クルーの公園、滝》

館内.JPG
《セ-ヴル美術館内》



*          *          *


 フランスは鉄道の国と言うことができるほど、鉄道が発達しています。もちろん人口が少ないので(日本の半分で約六千万)日本よりは電車の本数が少ないかも知れません。でも、二階建て車両にしたり、15両はある長い車両編成にして、ひとりでも多く座らせようというSNCF(フランス国鉄)の姿勢が好きです。
 それにひきかえ、空いていても10時までは椅子を下ろさない、貨物のような我が国の列車の悲しさ。なんとかならないものでしょうか。と、ここでぼやいても仕方ありませんね。せいぜい痴漢と間違えられないようにしなくては。
 今回はTGVのようなメジャーな列車ではなく、日本でいえば中距離列車にあたる、郊外列車に的を絞りました。乗り合わせた人たちはツーリストではなく、日常生活を送るフランスの人たちでした。
 それだけにフランスを身近に感じることができたような思いがします。
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パリ散歩 | 11:39:49 | Trackback(0) | Comments(0)
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