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石田明生

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高校野球・・・奇妙きてれつな試合
 昨日は久しぶりに甲子園球場の高校野球をテレビ観戦した。我が郷土代表が試合をするとなると、普段無関心を装っていても、やはり応援したくなるのが人情というものだ。
 その試合、浦和学院高校と鹿児島実業高校の第二試合は、前評判通り、追いつ追われつの好ゲームとなって、試合修了まで目がはなせなくなってしまった。8回裏の時点で浦学は2点のハンディーを背負い、ここで相手に追加点をとられたならだめ押し点となり、負けが決定的になる。やっと2アウトになったとはいえ、ランナーは2・3塁でしかも打席にもっとも怖い強打者が立っている。その時信じられないようなことが起こった。
 ピッチャーはおそらく渾身の力を込めて、ストレートを投げたに違いない。打者もまたさすが強打者の噂に違わず、バットの真芯でボールをとらえ、強烈なライナー性の打球をレフトに放った。だれでも、二人のランナーがホームを駆け抜けて、2点追加だと思ったことだろう。とその時、なんとレフトは猛烈なダッシュを見せて、その打球を地面すれすれで捕球したのだ。もちろん大ファインプレーだ。そして、3塁側球審は、確かめるようにひと呼吸置いて、アウトを宣告した。甲子園球場に溜め息が、そして歓声が流れた。テレビ観戦の我々(息子と二人)も、「やったー、これで次の回がおもしろいぞ」と、大喜び・・・しようとしていたら、テレビ画面に司会者と解説者の称賛の声が流れつつ、そのファインプレーのビデオリプレーが現れた。すると・・・



 驚いたことに、レフトは打球を地面すれすれに捕球したのではなく、ショートバウンドで捕っていたのだ。そのビデオは全国に流れたので、ご覧になった方も多いのではないかと思う。ということは、あのまま試合を続けていたとしたら、鹿児島実業側に少なくとも1点は追加点が入ったはずだ。しかもチェンジになっていない。あの時点では重大な局面だ。そのビデオは、さまざまなことを物語っているにもかかわらず、驚いたことに、いや、あきれかえったことに、おしゃべりが商売の司会者も解説者もいきなりだんまりを決め込んだのだ。黙ったままだ。まるで、水を打ったように静かなのだ。彼らも、きっと口をあんぐり開けたままだったに違いない。
 高校野球は(というよりも高校野球の限界はと言ったほうがいいかも)、審判を絶対の存在としている(ことだ)。というのもプロ野球と違って、甲子園大会の審判の人たちはみな無報酬で、いわゆるボランティアで仕事をしているからだ。そのような善意の人たちに抗議をしたり、まして批判したりすることは許されない。その結果が、司会者と解説者のだんまりだ。彼らはビデオを見て「イヤー、ナイスプレーでしたね」とも、「あれっ、ワンバウンドしてるではないですか。ミスジャッジですね」とも言えないのだ。
 ビデオのなかった昔なら、審判のジャッジはあとで検証されようがないのだから、絶対的でよかった。が、今のように、明確に見える形でミスが指摘されるのだから、審判の方はたまったものではない。ジャッジにいちゃもんをつけられては、無報酬の善意の行為などする人がいなくなってしまう。
 だけど、だけど、そうは言っても、試合をしている選手たちからすれば、明らかなミスジャッジのために試合に負けたとすれば、その悔しさは想像を絶するものがある。さらに言えば、たとえばファインプレーをしたと讃えられたかもしれない先ほどのレフトは、ひとりワンバウンドだったことを知っていたはずだ。それをごまかし通すのは、かつてビデオのなかった時代ならよいが(「だますのもプレーの内」と言って)、今日のようにビデオで明確にわかってしまう場合、やはり不道徳ではないだろうか。
 9回の表、浦学の攻撃は幸いなことに、本当に幸いなことに、三者凡退であっけなく終えた。まるで、勝ってはまずい、というよりも勝とうとしては申し訳ないとでも思ったかのようにだ。観戦している僕も、応援している浦学が負けてくれるように思わず祈っていた(もしも逆転勝ちにでもなったら、さっきのレフトの選手の心持ちはどうなる?)。
 そして、浦学は負けた。ほっとしているのは、ひとり僕だけではないはずだ。浦学チームの選手たちも、先生方も、司会者も解説者もほっとしているはずだ。いや、誰よりも審判たちや高野連の関係者も胸を撫で下ろしたことだろう。
 どんなスポーツの試合でも、人が司るジャッジに問題は起こる。起こらないほうが変なのだ。
 だから、こと高校野球に関しては、試合を決定づけるような重大な局面での微妙なプレーは中断してもいいから(どうせ野球はしょっちゅう中断しているのだから)、ビデオ判定をしたらどうだろうか。審判の人たちも、給金をもらっているわけではないのだから、間違いを突っ張って一生引き受ける責任はないのではないか。
 主審がマイクを持って「ビデオ判定の結果アウトとなりました」と言って、試合を再開しても誰も文句を言わないだろう。
 というわけで、昨日の浦学対鹿実の試合は、最後の最後にまことに奇妙な具合になってしまった。何しろ応援しているチームが最終回に三者凡退することを、敗退を願ったのだから。
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日常スケッチ | 15:37:17 | Trackback(0) | Comments(0)
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