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石田明生

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フランス旅行、第一日目
 『オランジュリー美術館』の目玉はなんと言っても、晩年のモネが描いた『Les nymphéas 睡蓮』です。

モネ睡蓮

 睡蓮 nymphéa は、ギリシャ神話の水の精 nymphe にたとえたことからできた言葉とか・・・ニンフはその魅力で晩年のモネの心を完全にとらえたようです。オランジュリー(オレンジ園)という一種の温室は、屋根がガラス張りのために、ふんだんに光を取り込みます。モネはその光を利用して、ジベルニーにある日本庭園を復元したかったに違いありません。ギリシャのニンフたちの集う日本庭園、モネ晩年の野心はここオランジュリーで結実したのです。
 見学者たちはその庭園の中を自在に歩き回ることができます。なんと心憎い仕掛けでしょう。


 美術館を出ると、そこはコンコルド広場です。パリでもっとも美しい広場と言っても過言ではないでしょう。オベリスク(古代ファラオの墓所にあった尖柱)を中心として、シンメトリックに噴水や都市のシンボル像が配置されているというだけではなく、この広場の中心、つまりオベリスクの足もとから見る四方の眺めが都市の持ちうるパースペクティヴを美にまで高めているからです。シャンゼリゼ通りから凱旋門までの古典主義的な力強さ、ブルボン宮とマドレーヌ教会というネオクラシック様式の対峙、テュイルリー庭園の奥に見えるカルーゼル凱旋門とガラスのピラミッドの不思議な調和、そして、極め付きは南西にそびえ立つエッフェル塔の優雅さ、ルーヴル宮のルネッサンス様式から現代芸術に至るまでの美の総合がそこにあります。

コンコルド広場
左が高級ホテルの『クリヨン館』、右が海軍省、中央の奥が『マドレーヌ教会』です。

 
 エッフェル塔に昇るのに長蛇の列ができているという噂でしたので、昇りのエレベーターをあらかじめインターネットを使って5時半で予約しておきました。ですから、塔を眺める最適地のシャイヨー宮殿に4時半前に到着しました。このトロカデロの丘にある宮殿から見るエッフェル塔とシャン・ド・マルス公園の絶景を見逃すわけには行きません。

シャイヨー宮
エッフェル塔(1889年の万博)とシャイヨー宮殿(1900年の万博)

 エッフェル塔を見ながら丘を下り、セーヌ河を渡るとエッフェル塔の下にたどり着きます。真下から見る塔は一種の艶かしささえ感じられるから不思議です。天才技師エッフェルの鉄を使った魔術はボルト一本に至るまでほどこされ、極限の美を追求しています。

真下のエッフェル

 しかし、塔は昇ってこそ価値があるもの。最上階の展望台から見える庭園は、幾何学模様の均斉美を見せてくれます。

塔から見たシャイヨー             塔から見たシャンドマルス
最上階から見たシャイヨー宮殿とシャン・ド・マルス公園

 思えばフランスは、パリの町を世界の冠たるものにしようとその美化に努めてきました。それをきわめて意識的に推進したのは、やはりナポレオン三世以降ということになるでしょう。皇帝は、単に新しいものを建設するばかりではなく、遺跡の保護や荒れ果てた古城やモニュメントの修復に膨大な情熱を注いだのです。それはパリだけではなくフランス全土に渡り、現在観光客が愛でる遺跡や城、教会などはほとんどその時代の修復によるのです。
 マルクスに「馬上の社会主義者」と揶揄されたナポレオン三世の社会主義的経済改革と文化保護政策に、多くの欠陥があることはわかっています。しかし、誰かがしなければ、フランス人の持つ美意識や美への誇りは生まれなかったことでしょう。ですから、その美意識は現在でも生き続け、フランス全土に行き渡り、小さな村にまで浸透しています。この度の旅行でブルターニュの小さな村にも行きましたが、そんな田舎にも手抜きのない美へのこだわりを感じました(それはまた後に紹介するつもりです)。
 エッフェル塔見学の後は、デパート「ギャルリー・ラファイエット」(このデパートにも強烈な美へのこだわりがあることは冒頭の写真でおわかりでしょう)で、キッシュやシュークルット(酢キャベツとソーセージやベーコンの煮込み)などの総菜を買い、宿でパリ初日のパーティーとなりました。シャンペンを開け、ワインに酔いしれ、食後酒で眠りにつき、ついに長い一日が終わったのです。
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パリ散歩 | 18:29:45 | Trackback(0) | Comments(0)
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