■プロフィール

石田明生

Author:石田明生
ホームページの方もよろしくお願いします。
文学雑感、旅行記、翻訳などを載せています。

■4travel

スキピオの旅行記(写真付き)もごらんください。

■最近の記事
■カテゴリー
■最近のコメント
■月別アーカイブ

■最近のトラックバック
■リンク
■アクセス解析

■ブロとも申請フォーム
■ブログ内検索

■RSSフィード
ロクロナン村・・・フランスのもっとも美しい村のひとつ
 カンペールからロクロナン村までバスで30分ほどでしょうか。相変わらず、乗客が僕ら夫婦とプラスαという、貸し切りバスの気分で、豪華なバスはブルターニュの田舎をひた走りました。日本なら考えられないことですが、このような田舎のバスの運転手は運転席のラジオに耳を傾けながら嬉しそうに運転しています。バスを下車する時に確認しやすいように、僕たちはいつも運転席の近くに席を取りますので、否が応でも、フランスのポップスを聴いてしまいます。僕には嬉しいことですが、音楽がいやなら後方の席に座らなくてはならないでしょう。
 広大な畑の風景と軽快なポップ・ミュージックをこれでもかこれでもかと堪能した頃、広い駐車場の入り口にあたる道路脇にバスは止まりました。人口わずか800人ほどのロクロナン村です。

入り口の十字架        村までの道
駐車場の十字架                  村に至る道

村の建物
みやげ物屋



 この村は「フランスでもっとも美しい村々」に選ばれていて、日本のテレビでも紹介されたことがあります。そのせいでしょうか、帰りのバスでは、この村に宿泊したという日本人のご夫婦と一緒になりました。
 さすがに「美しい村」、写真で見る通り、村へのアプローチからして違っています。途中にたたずむ銀行まで飾らぬ美しさをそなえて、村のセンスの良さを見せています。

銀行
多分村に唯一ある銀行

 「ロクロナン」の名前の由来は、「ロナンさんがいた所」という意味だそうで、ロナンとは、その昔アイルランドからやってきた修道士、聖ロナンのことです。ですから、もちろんこの村の中心にある教会の名前は「聖ロナン教会」と言います。決して大きいとはいえないこの教会の魅力も、飾らない素朴な美しさにあります。積み上げられた石になんという暖かみが込められていることでしょう。村人たちの信仰心もさることながら、石、土、木などものに対する愛情の深さもひとかたならぬものがあるのでしょう。

ロナン教会
15世紀に作られた教会と16世紀の「ペニティー礼拝堂」(右)がつながっている。

 右側の入り口から入ると、真っ先に目に入るのは聖ロナンの横臥像(平墓石)です。がっしりとした石で作られたそれは、足元の獣まで、いや寝台をささえる六人の婦人に至るまで、彫刻家の匠の技が生きています。決して出しゃばらない美、どうもそれがこの村の審美となっているような気がします。

聖ロナン横臥像         礼拝堂内


 それはすぐ近くにある「十字架降下」の彫像群でもうかがわれます。

十字架降下
イエスとマリアを囲んで、左からアリマタヤのヨゼフ、福音者ヨハネ、マグダラのマリア、ニコデモでしょうか。

 しかし、その素朴な美が、こういうのも変ですが「顕著」に表現されているのはその彫像群の下にある、二つの浮き彫りです。いずれも16世紀の作品と解説書にあります。16世紀と言えば、パリではフランス・ルネッサンスたけなわのころ、ブルターニュ半島のはずれまで、そのイタリアからの時代のうねりは届いていなかったのでしょう。この浮き彫りは、イエス復活を告げる二つの奇跡を表現しています。

フッカツ              エマオでの出現
[マグダラのマリアの前に復活して現れたイエス] [エルサレム近郊のエマオで、弟子と食事する復活したイエス]

 教会内にも、たくさんの素朴な聖者像がありました。ここでは4体だけ紹介します。

サン・ロック          クリストフォロス
パンを加えている犬を連れている筈ですが、犬のいない聖ロックと赤ん坊のイエスをかつぐ聖クリストフォロス

アントワーヌ          サン・セバスチャン
豚を連れている聖アントワーヌと弓矢で射殺された聖セバスチャン

 教会前の広場は村の中心です。その美しさには、もしくは美しさを保とうという意志の強さには驚きます。塵芥のごときはもちろんありません。古い石の色と新しい現代の色の調和が実にあっているのです。

教会前の広場       井戸          街の聖者像
教会前の広場に並ぶ建物、井戸、素朴な聖女

 ロクロナン村は、かつて大航海時代に村の近郊でとれる植物から作られた麻のような布を船の帆として生産して繁栄を謳歌したことがありました。しかし、その生地は、ジェノヴァのジーンズやニームのデニムのように後世に伝わらないまま、村も衰退の一途をたどったそうです。戦後もしばらくして、村人たちの心に小規模でも美しい村を作ろうという意志が強くはたらいたのでしょう、こつこつと元の歴史的な建物を活かし、華美や派手さを排除した落ち着きのある村を完成させたのです。そう、まさに「完成」させたのです。そして今では、フランス国内からだけではなく外国からも観光客が訪れ、村も静かな繁栄を迎えています。
 村の散歩と言っても、本当に小さな村なのですぐに村はずれに出てしまい、まわりをめぐることになります。しかし、その村を取り巻く散歩道がまた素晴らしい。

村はずれの教会         堂内の降下像
村はずれにある礼拝所「ノートル・ダム福音礼拝所」と堂内の「十字架降下」

 何気ない田舎の風景の中に、みごとにおさまった礼拝所でした。さらに行くと、遠くに青い海が見えました。大航海時代の繁栄という言葉が俄然具体性を帯びてきました。あの海は、まさにユーラシア大陸の西の果ての海です。

大西洋

 不思議な感動を覚えました。「ついに先端に来たのだ!」美しい入り江の風景が遥か彼方に・・・
 今度は、村の逆側に行き、村はずれの丘を目指しました。

ロクロナン村            村の全景
丘に登る途中、振り返っての一枚と丘から村のまわりを撮る(手前の塔はロナン教会)
スポンサーサイト
2011年フランス旅行 | 10:19:34 | Trackback(0) | Comments(0)
コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

FC2Ad