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石田明生

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国立博物館で、クメール美術を見る。
 昨日は、東京上野の国立博物館に行きました。
 3月下旬並みの日和で,暖かく晴れてよかったのですが,それだけに花粉が多そうで,コンビニ強盗のようにゴーグルを付け、花粉対策を万全にして出かけました。ところが,暖かかったために、汗をかくのでしょう、すぐに曇ってしまいます。暖かいので花粉対策が必要なのに,暖かいために汗をかいてよく見えない。思いもよらぬ落とし穴がありました。スキーのゴーグルはやはりスキーのゴーグルなのですね。スキー場でしたら,ゴーグルをはずしてハンカチで拭けばいいのです。もちろん、花粉対策用でも同じことですが,その間眼をつぶっていないと、眼に花粉が付着してしまいます。油断がなりません。
 朝,稲荷寿司とマカロニサラダを作り,昼食の弁当としました。国博の平成館には弁当を食べられる休憩所があるからです。

105.jpg
ベンチにひろげた弁当



 国博に到着すると,真っ先に「法隆寺宝物館」に向かいました。人の波は,現在平成館で開催中の「王羲之展」に流れています。しかし,われわれ(妻と二人)は、あまり書に対して関心がないというか、書のことがわからないというか,王羲之展に固執しておりません。昼食のついでくらいに思っています。
 というわけで、国博の敷地内でも一番目立たない「法隆寺宝物館」に行きました。「法隆寺宝物館」はモダンで,直線をうまくつかった、美しい建造物です。作者のセンスの良さがうかがわれます。

宝物館
シンブルですが,美しい「法隆寺宝物館」。手前の色の濃い部分には澄んだ水が張ってあります。

館内はほぼわれわれだけで(ひとり、二人入って,出て行きました),何十体もある飛鳥時代の菩薩像を独占的に鑑賞、というよりも観察できました。菩薩様の足の立ち位置、手の位置,持ち物、衣装、こんなに細かく見られるのはここ以外あまりないでしょう。それほどがらんと空いているのです。最近,日本でも写真撮影が許可され出したので,それも観察・鑑賞に強い味方になります。

菩薩立像
観音菩薩立像・・・飛鳥時代の仏像は、顔と手と足が、異様に大きいのが特徴です。
菩薩は,まだ如来になれず修行中の身、身には俗世間の飾り物を付けています。
このような菩薩立像が館内にはたくさんあります。
おそらく,三尊像の両脇に立つ脇侍だったのでしょう。
右手は普通てのひらをこちらに向けているはずですが,逆になっています。
おそらく、水瓢を持っていたのですが、とれてしまったものと思われます。

 正午近くになって,館を出て,かねての計画通り,平成館に向かいました。するとどうでしょう。入り口から,人、人、人で長蛇の列を作っているのです。王羲之展の人気の恐ろしさを目の当たりにしました。書のことがわからない小生など思いもよらないことです。列の最後尾にいたマイクを持ったおじさんが、「20分待ちです」と叫んでいます。われわれのような、単に弁当を食べるためだけで,王羲之展の切符を利用しようとしている不埒ものは、とても列に加わる勇気がありません。そこで、花粉が嫌でしたが,外で,しかも先ほどの「法隆寺宝物館」の前のベンチで昼食を食べることにしました。春のように晴れて暖かかったので,よかったのですが・・・ゴーグルはさすがにはずしました。こうなったら,少々の眼のかゆみは我慢しなければなりません。

東洋館
がっしりした東洋館。前を歩くハンチング帽のおじさんは、僕です。

 昼食後、いよいよわれわれの目的地,「東洋館」に向かいました。ここに、エジプト以東、つまりアジアの美術品が展示されているのです。この度「東洋館」はリニューアルしたばかりで,新しくなった館内も楽しみです。鉄筋コンクリート製の堅牢な建物に入ります。王羲之展には遠く及ばないまでも,多数の見学者が鑑賞していました。やはり,写真撮影が許可されていますので,メモを取る必要がありませんので,楽に鑑賞できます。
 ここでの目玉は,やはりなんと言っても,エジプトから来たミイラでしょう。

ミイラ
はるばるエジプトからやって来たミイラ。手前は棺のふたですが、
ふたまでちゃんとそろっているのは、我が国では珍しいそうです。

 ミイラ近くは、当然ですが,メソポタミヤなど中近東の展示品が多いです。いわゆるオリエント文明の歴史の底深さを感じさせてくれますが、いかんせん、極東の果てまでやって来る出土品の数はたかが知れています。ルーヴル美術館のようにいかないのは仕方ありませんね。
 ガンダーラの「仏陀誕生」は眼を引くものです。先ほどの「法隆寺宝物館」にも、このテーマの作品はありました。摩耶夫人が、右脇の下から仏陀を生んでいる様子です。どうして仏陀は,このように誕生したのでしょうか。時代は下りますが,キリスト教では,マリアが処女懐胎することによって、神の子であるイエスは誕生します。性的なものを嫌うキリスト教らしいと言えばそうですが,仏教もその始源においては、嫌われたのでしょうか。

仏陀誕生
これは,パキスタン・ガンダーラの「仏伝・・・誕生」です。
仏様の誕生から涅槃までが、美しい石像となっています(館にあるのはその一部でしょう)。

 こうして,われわれはクメール美術の展示室に入ったのです。ちなみに、どういうわけか(たぶんあとからできたからかもしれません)、このクメールの美術品は、地下室にあります。この東洋館の展示の仕方はまったく奇々怪々です。というのも、展示品の、地理的という意味でも,時代的な意味においても、あらゆる意味で展示室の順序は秩序だっていないからです。いわゆる1階が入り口ですが、まず古代中国、一回りして2階に行くと,エジプト・メソポタミア,さらに上に上がると朝鮮、そこからエレベーターで地下に下りると,クメールという具合です。
 地下の展示室に入ると,すぐに眼につくのが,クメール芸術らしい、シンプルで均整のとれた美しい男性女性の神像でした。

男神           女神
アンコール時代の男神像と女神像・・・なんのてらいもなく、
また少しも臆することなく、自然な均整美を放つ裸身の像は、
失われた相貌に無限の美しさを与え続けています。

 こうした東洋美術は、パリのギメ美術館になんども足を運んだことのあるわれわれにとって、とても懐かしいものでした。と思って見学していると,作品についているパネルの説明文を見てびっくり・・・ここにある、クメール美術の収蔵品はみなフランス極東学院との交換品だったのです。よくわかりませんが,たぶん,ギメなどの美術品と日本の美術品を交換して,互いに豊かにしたのでしょう。
 最後に,印象に残った仏像を紹介しましょう。

仏陀三尊
「ブッダ三尊像」よくある三尊像のようですが,この両脇の脇侍は,向かった左側は観音菩薩で、左側は胸を見ればわかる通り,女神です。

 次のような説明がありました。
《中央ナーガに坐すブッダ、右に四本の腕を持つローケーシヴァラ(観音菩薩)、左にプラジュニャーパーラミター(般若波羅蜜多菩薩)を表しています。ジャヤヴァルマン七世の時代に寺院に奉納する目的でこの三尊が多数造られました。ブッダは本人、脇侍は父母であるといわれています》
 ということは,この三尊像は、王様と両親を表しているということになります。もしかすると,もともと三尊というのは,釈迦とその両親ということはできないだろうか。という途方もない(そしてたぶん間違っている)疑問がふとわいて来ました。そして,時代とともに両の脇侍は、勢至菩薩と観音菩薩というように男神二人になったのではないでしょうか。それならば、どちらかは,摩耶夫人の変化(へんげ)ということになります。ちょっと楽しい空想です。
 途中、アメ横で「大トロ、安いよ!!!」のかけ声につられて,買って帰りました。夕食時でも凍っているようで冷たいので,皿を暖めて解凍しようとしたのですが,今度は生暖かい大トロとなりました。それでも、上野の思い出、白ワインとともにしっかりと胃の腑におさまりました。
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日常スケッチ | 11:14:32 | Trackback(0) | Comments(2)
コメント
スキピオ先生
お久しぶりです。上野の東洋館、僕も行きました! 地下のクメール美術は、見ごたえありましたね。正倉院館の仏像も、配置が斬新で見事でした。今度は、日本美術をきちんと見にいきたいです。
花粉が辛いですね。ひどくなりませんように。
2013-03-08 金 19:16:13 | URL | titanx2 [編集]
Re: タイトルなし
titanx2 さん、本当にお久しぶりです。
ご存知かもしれませんが,大学のほうは、1号館と正門がリニューアルされ、きれいになりました。もうすぐ桜ですね。
また、日本の美術を追いかけて,奈良・京都に行きたいです。
学期がもうすぐ終わりですね。
でもすぐに新学期,お仕事頑張ってください。

スキピオ
2013-03-09 土 06:50:03 | URL | 石田明生 [編集]
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