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石田明生

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人にはどれほどの土地がいるか
 今日は,おそらく人生最後の大物買いとなるかもしれない買い物をしてしまった。契約をし終わったあと,何とも不思議気持ちになっている。高かったのか安かったのか,もちろんそれもあるが,それよりも、自分の終の住処の決定を自らしたことに、頭の中で思いが複雑に入り混じり駆け巡っている。ついについに自分の墓を買ったのだ。
 ロシアの文豪トルストイの小品に『人にはどれほどの土地がいるか』という民話がある。
 ある農夫(パホームという名前)が豊かで広い土地を求めていろいろ画策していたが、ついに安くて、広大な土地を手に入れるチャンスが来る。それは、日の出から日没までの間にぐるりと一回りできた土地を安く買えるというのだ。ただし、日没までに元の地点に戻れなければ、金子だけとられてしまう。季節は日の長い時期、農夫パホームは勇躍,日の出とともに歩き始める。どんどん行くとついつい土地の肥沃さに欲が出て、曲がるのを先に延ばしてしまう。だが,戻れなかったら大変だ。精一杯の周を描いて、農夫は歩く。いや,最後は走る。全速力で猛烈な勢いで走る。陽はまもなく沈むではないか。無我夢中でゴールを目指し、ついに日没と同時に到着する。だが,その場でばたりと倒れてしまう。彼は血を吐いて死んでいた。物語の最後は以下の通りだ。

 下男は土掘りをとりあげて、・・・頭から足までがはいるように・・・きっかり三アルシン(一アルシンは約七十一センチルートル)だけ、パホームのために墓穴を掘った、そして彼をそこに埋めた。(p.127 トルストイ全集13・・・中村白葉訳)

 今日買った墓の広さは、たった1平方メートル!!! 生涯の間ずいぶんと走り回ったが,僕に必要な土地はこれだけなのだ。農夫のパホームを笑うことはできない。
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日常スケッチ | 16:10:00 | Trackback(0) | Comments(0)
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