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石田明生

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この夏のフランスtubesの傑作は?
 最近のフランス旅行はたいていホテルに泊まる。以前のように友人のアパルトマンがなくなってしまったからだ。そのアパルトマンにはテレビがなかったので、フランスのテレビを見る機会は皆無だったけれども、今は、ホテルなので見る機会ができた。とりわけ、朝早く目覚めてしまう僕が見る番組は、tubesという、音楽番組だ。最新から10年前くらいの曲までさまざまなジャンルの大衆音楽のPVをただ流し続けているだけの番組構成などない、いわば音楽の垂れ流し番組だ。これがいい、僕にとってきわめて興味深いのだ。毎年、面白いヒット曲を発見する。たとえば去年の夏は、なんと言っても、1789 Les amants de la Bastille「1789年バスチーユの恋人達」だった。これはロック・ミュージカルの題名だが、そのなかの、Je veux le monde「世界が欲しい」 と Ça ira, mon amour「うまく行くさ、恋人よ」 は圧巻だった。

http://www.youtube.com/watch?v=rDZKoJ5XMco

http://www.youtube.com/watch?v=6Om4EIUWrYQ



 さっそく、Fnacに行ってDVDを買い求めようとしたが、まだ発売されていなかった。CDは出たばかりだったので、手に入れることができたが、とにかくすばらしい曲ばかりのミュージカルだ。ちなみに、これはまだ発売されていない。11月になるそうだ。
 さて、今年はというと・・・ミュージカルに関しては M. Pokora 主演の「ロビン・フッド Robin des bois」がおもしろそうだが、残念ながら、もうすでに知っていたので、ホテルのテレビで見ても去年のような感動はなかった(ご存知でない方は下のURLで見て聞いてください)。

http://www.youtube.com/watch?v=wvHq5nX_0Dk

 授業のテキストとしても、ロビンフッドはイギリスが舞台だし、何よりも今の学生たちには知名度が低そうだ。

 さて、この夏、印象に残った歌手は、二人だった。まずひとりは、ストロマエ Stromae というベルギーの歌手。すでに日本の Wiki に不完全でも項目があるので、そこそこ知られているのだろう。彼の Papaoutai「パパどこにいるの」はフランス旅行中の朝、たいてい一度は聞いた。今、彼はヨーロッパで大ブレークしている。まずは聞いてみてください(もう4千万回以上のアクセスがある)。

http://www.youtube.com/watch?v=oiKj0Z_Xnjc

 もちろん、Stromae は子供ではなく、人形のほうだ。彼は、母親がベルギー人で、父親がルワンダ人。ただし、父親のほうは、例の悲惨なジェノサイドで殺されてしまった。1985年生まれだから、今27歳か。
 この曲とは全く異質な Formidable もすばらしい。とりわけ、ブリュッセルの街をふらふらと酔っぱらいのように千鳥足をしているストロマエを隠しカメラがとっている映像が面白い(英語の字幕付き)。2千万回以上のアクセスがある。

http://www.youtube.com/watch?v=S_xH7noaqTA

 もうひとりは、昨年 Ma direction という曲をヒットさせたラップグループ Sexion d'assaut のリーダー、Maître Gims の Bella という曲だ。ファム・ファタル的な美女、Bella を中世の吟遊詩人が現代にやって来たなら、こうなるだろうというように歌い上げる。

http://www.youtube.com/watch?v=rMltoD1jCGI

 授業で読んでみようかと思ったので、現在注を付けている最中だ。フランス語の教科書の会話文と異なり、若者特有の「しゃべり」がテキストなので、おもしろいけれど、これがけっこう難儀なのだ。最後の couplet 3 をちょっとお見せしよう。refrain couplet 1, refrain couplet 2, refrain couplet 3 refrain という構成になっている。

Couplet 3 :
Allez, fais-moi tourner la tête (Hé-hé)
Tourner la tête (Héhé)
Rends-moi bête comme mes ieds-p (Hé-hé)
Bête comme mes ieds-p (Héhé)
J'suis l'ombre de ton ien-ch (Hé-hé)
L'ombre de ton ien-ch (Héhé)
Fais-moi tourner la tête (Hé-hé)
Tourner la tête (Héhé)

 おもしろいのは、pieds(足)や chien(犬)を ieds-p ien-ch と並び替えて、そのまま発音していることだ。訳はこうなるのだろう。

さあ、おれをメロメロにしてくれ
メロメロに
おれを大バカものしてくれ
大バカものに
おれはあんたの犬の影
犬の影
おれをメロメロにしてくれ
メロメロに

 ここで「犬の影」が出て来るのが興味深い。というのも、これはかの大歌手 Jacques Brelジャック・ブレルの名曲 Ne me quitte pas「行かないで」の最後に出て来る詩句だからだ。ブレルはこう結んでいる。

Laisse-moi devenir   させてくれ
L'ombre de ton ombre  あなたの影の影に
L'ombre de ta main   あなたの手の影に
L'ombre de ton chien  あなたの犬の影に
Ne me quitte pas    行かないで
Ne me quitte pas    行かないで
Ne me quitte pas    行かないで

 もちろん Maître Gims はこれを意識して、彼の Bella を書いている。紋切り型の表現のとき、語を並べ替えているからだ。bête comme mes pieds 「ひどいバカだ」の pieds の場合がそうだ。だから、ton ien-ch としているのは、ブレルの l'ombre de ton chien「あなたの犬の影」をちゃんと意識して使っていますよというメッセージなのだ。ブレルが「あなた」に対して激しい情熱を抱いているように、Gims も Bella に対して、負けず劣らず激しい恋をしていると主張する。
 この夏の収穫は以上だ。
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2013年フランス旅行 | 17:20:20 | Trackback(0) | Comments(0)
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