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小説『革命の館パレ=ロワイヤル』
 昨日は、今年最初の小説を読了した。この小説『革命の館パレ=ロワイヤル』は、書名も作者名も何も知らず、どこかで図書館流れになって、どこかの古本屋で二束三文で手に入れたぞっき本だ。昨年から読んでいたがついに年を越してしまい、今に至った。
 読んでみたら、これがおもしろい。物語は題名が示す通り、フランス大革命真っ只中の1793年から始まり、翌年のテルミドールの反動を頂点とし、ナポレオン没落後の王政復古までをたどる。舞台は、もちろんパレ・ロワイヤルを中心としたパリの中心部で、主人公は、サン・ジュストのような純粋な男でも、ロベスピエールのような廉潔の士でもない(ちなみに次に挙げられる特性の士はクートンかもしれない)、女郎のひも上がりだ。
 なにしろ、この書のエピグラフが次の通りなのだ。

「熱月(テルミドール)の政変からは、偉大にして深遠な教訓を引き出すことができる。特性、純粋、廉潔は地獄を地上に居座らせ、悪徳と腐敗が世界を救う」

 そう、主人公のジュリアン・テロワーニュは悪徳と腐敗の士であるテルミドリアンのバラスの側近として、頭角を現す男だ。当時のパレ= ロワイヤルはまさにその悪徳と腐敗の聖地だった。


 ベルギーのリエージュからパリにやってきた、二十歳の青年ジュリアンはまずは丁稚奉公としてまともな仕事に就くが親方が恐怖政治下で獄死してから、仕事をやめてパレ=ロワイヤルの娼婦の家に潜り込む。そこでひもの仕事をしながら、反ロベスピエールのバラスやタリヤン(夫人を通じて)と知り合い、テルミドールの反動の下働きをして、出世する。
 この小説のおもしろさは、物語の主要人物たちがエピグラフそのものから生まれていることだ。テルミドリアンたちはまっとうな人たちにとっていちばんおもしろくない登場人物に違いない。何しろ無節操を金科玉条とする、信念のない(厳密にはそういう意味で信念のある)人たちなのだから。主人公のジュリアンは、反王党派でありながら、反ジャコバン、しかも反共和主義でいながら、反ブルボンという後世の読者にとってなんとも魅力のない男だ。が、憎めないのだ。帝政時代になって、伯爵にまでなっても憎めないのだ。世の中にはこんな嫌な奴もいる、が彼は女に対してはどこか、無節操でいながら、どこか共感できる部分がある。微妙な人物を、微妙な環境の中に描いた作者に拍手!!!
 やっぱり小説はおもしろい。

『革命の館パレ=ロワイヤル』ルネ・スウェンネン著杉山正樹(中央公論社)1990年
原題は Palais Royal
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雑感 | 16:42:36 | Trackback(0) | Comments(0)
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