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石田明生

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映画『最高の花婿』を鑑賞する。
 ほとんど毎日家にいるので、たまの外出は楽しい。が、まだ花粉に目をやられるので、それだけがたまの外出に水を差す。金曜日の夕刊を見ていて、愉快で楽しいフランス映画が、恵比寿のガーデンシネマで上映されているのを知った。あの映画館なら、途中あまり花粉にやられることもない。というわけで、昨日3月28日、フランス映画『最高の花婿』(監督はPhilippe de Chauveron)を観に行った。
 映画館ガーデンシネマは一時期閉鎖されていたのだが、また復活したらしい。改装でもしたのだろうか(見た目そうは思えない)。とにかく、僕にとっては嬉しいことだ。この映画館は、なかなか面白い作品を上映するからだ。
 さてこの度の作品は、原題 “Qu'est-ce qu'on a fait au Bon Dieu?”(神様に何をした?)、邦題は『最高の花婿』となっていた。この邦題が示す通り、四人姉妹の婿さんが問題だ。

最高の花婿
主役のクロード役、クリスチャン・クラヴィエの演技力は抜群だ。出しゃ張るわけでもなく、
嫌味でもなく、観客を笑いの渦に巻き込む。
可能なら、DVDを買って学生に見せたい。




 ロワール川のシノンに暮らす裕福なヴェルヌイユ夫妻には四人の娘がいる。夫のクロードは田舎の紳士らしく、カトリック信者で保守的なゴーリスト、娘たちにも同じ価値観を持ってもらいたいと思っていたのだが・・・
 長女はアラブ人と、次女はユダヤ人と、三女はなんと中国人と結婚したのだ。敬虔なカトリック信者の娘夫婦や孫に囲まれて老後を穏やかに過ごそうという目論見はことごとく消滅する。残る期待は、末娘のロールだけだ。そのロールから、恋人がいて結婚したい旨を打ち明けられたクロード。嬉しいことに、結婚相手はシャルルという立派なクリスチャンネームの持ち主で、しかもカトリック信者らしい。最後の最後、末娘によって、クロードの夢は実現するかと思われたが、ロールが連れてきた婚約者は、コート・ジヴォワール出身の黒人青年だった!!!
 裕福な田舎の紳士であり、保守主義者のクロードの戸惑いと落胆、とはいえ人種差別をしてはならないという教養。この複雑な感情が、観客の爆笑を誘いながら、見事に描かれる。僕も、最初は周りを気にしていたが、そんなことを気にしてはいられない。涙が出るほど、笑い転げてしまった。映画鑑賞でこんなに笑ったのは記憶にない。人種や宗教、国際結婚やメティス(ハーフの子供)、ともすれば深刻な議論や争いになるテーマをショーヴロン監督は、人の持つ最強、最大、いや最高の武器である笑いで、描き切った。エンディングの字幕を見ながら、笑いすぎた涙目を思わずハンカチで拭いたが、歳をとり涙腺も脆くなったせいもあり、この涙には少々感動の涙も混じっていたようだ。
 ヴェルヌイユ夫妻のようなカトリック信者が、エマニュエル・トッドのいう、「ゾンビ・カトリック」というのだろうか(『シャルリとは誰か?』文春新書)。ライシテの思想とそのかけ声のもと、20世紀に片隅に追いやられたはずのカトリシスムは、ご立派な田舎紳士の中に宿っていたが、この21世紀の鋭い宗教的対立の時代に蘇ったのだろうか。トッドは、オランド大統領のことをゾンビ・カトリックと規定していたが、そういえば、主人公クロード・ヴェルヌイユは、オランドに似ていなくもない。
 ショーヴロン監督は、この作品の人種や宗教の対立と融和を、笑いの渦に巻き込んだ。そう、人は(クロードと四人の婿たちのように)冗談を言い、ケチをつけ、ムキになったり、喧嘩をするが、おかしくて笑ってしまう存在でもある。
 先日も、新聞に出ていた。笑う人の方が、病気にもかかりにくく、老後が楽しいらしい。
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映画評 | 18:15:48 | Trackback(0) | Comments(0)
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