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全席優先座席について
 先日の「余録」に次のようなことが書かれていた(2007.7.16)。

《(株主総会でのこと)・・・阪急電鉄が1999年から実施している「全席優先座席」について、高齢の株主が「普通の優先座席があったほうが席を譲ってもらいやすい」と見直しを求めた。突然の発言に、複雑な思いが広がった。》

 余録によると、阪急電鉄の全席優先というのは次のような経緯によるらしい。
 優先座席は1973年の9月15日、つまり敬老の日に当時の国鉄の中央線に初めてお目見えした(この年は老人医療費の無料化、年金の物価スライド制などが始まり、「福祉元年」と言われた年だそうな・・・今やこんなことは夢のようだ)。この優先座席は翌翌年の75年に時の運輸省の通達で私鉄にも広がった。
 それから約四半世紀後、阪急電鉄はこの優先座席の存在が、人間の性悪説によるものと気が付いたのかどうか知らないが、いずれにせよ、どんな席でも困っている人がいれば席を譲るのは当然のことではないかと、いわゆる「性善説」を支持し、ドアーの上に「席をお譲りください」というシールだけにした。
 というわけで、全座席優先席という考え方で7年が過ぎて、上の発言だ。これをどう考えればいいのだろうか。


 73年まで、我々はずっと全座席優先席でやってきた。どの席であろうが、困っている人や老人がいれば席を譲るのは当然だった。つまり、場所を選ばず、常に人の善意を当てにする、性善説を支持して来たのだ。
 ところが残念なことに、ある時から優先席というものができて、そこ以外なら老人や妊婦や赤子連れやハンディキャップのある方の存在を気にしなくてもいいというような風潮が生まれたのは否めない。そのためだろうか、優先席以外の席に腰を下ろした健常者たちはなんとなく解放されたような気分を持ったのではないか。極端に言えば、弱い方達は優先席があるからそちらに行って下さい、というわけだ。
 かくいう僕も、さすがに優先席に腰をかけた時には居眠りをしないようにしているけれども、他の席では眠ってしまうことが時々ある。目を覚ましたら、目の前にお年寄りがいて、思わず「すみません」と言ったことがなんどかあった。子供のときのように、優先席というものがなく全席優先と叩き込まれていたのと、確かに感じが違う。心の片隅で、優先席があるから、とつい油断してしまうのだ。
 「優先席」というものを考えついた人は、大手柄をたてたと思っているのだろうか。そして、優先席の場所を決めた人は? そういえば、この席の位置というものも実に不思議だ。優先席を必要としている人は弱者なのに、どうして優先席は車両の端っこにあるのだろうか。もっと使いやすい、真ん中のほうにどうしてないのだろう。それとも門外漢の僕には到底思いつかない、深遠な理由があるのだろうか。

 ちなみにここでフランスの優先席事情を紹介しておこう。少しは参考になるかもしれない。
 かつてメトロに、「優先席」と指定された席があった。
 初めてパリのメトロに乗ったとき、軽いカルチャーショックを受けたことを覚えている。それまで車両というものはどこの国でも同じようなものと思い込んでいたからだ。ところがパリのメトロの車両はドアーとドアーの間にいわゆる四人用のボックス席一組しかない。そしてその席の窓に、「ハンディキャップのある人、妊婦、老人、赤子連れ等々(順序不同・・・忘れました)の方の優先席」と書かれていた。要するに、ボックス席はすべていわゆる優先席なのだ。では他の席はどうなっているのか? それはボックス席の背中に付いている(つまり、ドアーのところに)。その椅子は折りたたみ式になっていて、もちろんそこに腰をかけていいのだが、車両が込み合って来ると、そこの席の人は立ち上がり、椅子は上に自然と跳ね上がって、混雑を緩和する。

メトロ.JPG
メトロの車内、ボックス席と上がったままのスタンポン

 カルチャーショックというのは、ボックス席すべて優先席というのもそうだが、なによりもこの折りたたみの椅子(スタンポンという)に腰をかけている人たちが込み合ってくると、皆ぱたぱたと立ち上がることだった。その件に関して、車内放送は全くない。
 というわけで、以上は気持ちのいい体験だ。現在では、窓の注意書きはなくなったが、精神はそのままのような気がする。翻って日本だったらどうなるだろうか。以前、この話を学生にしたら、「日本人は立ち上がらない」と軽く言われたことがある。そうだろうか。もう少し日本人の善意を当てにしていいのではないだろうか。少なくとも、時間で一斉に腰掛け禁止と腰掛け許可をするあの車両よりはましかもしれない。あの方式では、例えば下り電車の場合に車内がガラガラでも椅子は、時間が来るまで上がったままのためにすわれない状態になっていること多々ある。あの光景は不思議だし、愚かしい。

 さてまた全席優先席か一部優先席の問題だが、ここまで読んで下さった方は、僕が何を言いたいか、もうお察しになられているかもしれない。そう、この問題は、以前「携帯電話考」であげた問題と関連するのだ。
 「優先席では電源を切り、他のところではマナーモードに」ということは、医療機器を付けている方に優先席をあてがい、一般乗客は他の場所で解放されるというのに等しいのではないだろうか。人の善意というものに疑いを持ち、性悪説を支持し、「優先席」というものを作り上げた国鉄・JRが、次にしているのは一見弱者を保護しているかのような隔離策にほかならないのではないか。そういう意味で、優先席が車両の端にあるのは都合が良かったのではないだろうか。
 全席優先席とした阪急電鉄の携帯対策はどうなっているのだろうか。全席優先席なのだから、もちろん電源オフとオンの乗り分けはできないだろう。どちらか一方しかないはず、ぜひとも知りたいものだ。
 ところで、冒頭にあげたある老株主の発言はどうしたものだろう。お年寄りの実体験からすれば、隔離政策的に優先席が存在した方が譲られやすいだろう。それではやはり、せっかくの性善説支持の全席優先座席制度はなくなってしまうのだろうか。もしそうならきわめて残念だ。阪急電鉄にはがんばってほしい。そして、人の善意は結局は当てになるものだということを全国に発信してほしい。
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オピニオン | 11:34:35 | Trackback(0) | Comments(1)
コメント
こういう場合は?
私が若いOLだったころ、熱のある日に仕事に行って帰りのでん

























































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































2007-08-06 月 23:58:38 | URL | reicotte [編集]
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