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石田明生

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『子供の誕生』
 昨日はある会で、『17・18世紀概観・・・子供の誕生と童話』という題で話をしたが、思ったよりも時間が足りなかったので、尻切れとんぼ気味になってしまった。またそれに加えて、聞いている人たちがラ・フォンテーヌやペローを名前も含めてほとんど知らないような反応だったのでいまいち盛り上がりに欠けたような感じだった。時間があれば、ゆっくり説明できたのに、残念だった。
 フィリップ・アリエスの名著『子供の誕生』を軸に、17世紀末に現れる妖精物語の氾濫、とりわけペローの童話は、児童文学の発生に大きく関係したことを丁寧に話すつもりだった。要するに、子どもとして認知されず「小さな大人」としてしか扱われなかった子どもが、17世紀に発見され(誕生し)、18世紀になると子供の教育と教訓的童話が流行する。それは、ボーモン夫人の童話を読めば明らかだ。
 ペローの『眠りの美女』では、姫が生まれた時に仙女たちが色々なものを贈呈するが、ある仙女は「天使の心」を与える。ちなみにグリムの『野ばら姫(=いばら姫)』では、「美徳」となっている。グリムは19世紀の作家だが、物語は古い形のままだ。対して、ボーモン夫人のでは、違う作品とは言え、仙女は「この世のあらゆる不幸」を贈る。つまり、甘やかしはいけないというわけだ。
 また、18世紀は、教育家のジャン=バチスト・ド・ラサール(あの鹿児島ラサールのラサール)や『エミール』を書いたルソーが登場して、子供の教育論も盛んになる。


 目次代わりに話す内容と参考文献を配布した。以下の通り。最初の1.2.3.はセミの話とイソップで関心を引きつけて、ラ・フォンテーヌの『寓話』に言及し、17世紀の話に入った。が、どれだけ理解が得られたか・・・

- - -

フランス17・18世紀概観
・・・子供の誕生と童話・・・

1. セミのこと
スタンダール『赤と黒』
森鴎外の短編小説『うたかたの記』中のマリイの台詞「悲しきことのみ多ければ、昼は蝉と共に泣き、夜は蛙と共に泣けど、あはれといふ人もなし。」
2. セミの北限と生息地域 : パリ - 北緯48度51分 ミュンヘン - 北緯48度8分 ブザンソン - 47度14分 グルノーブル - 北緯45度11分 マルセイユ - 43度18分 屈斜路湖(和琴半島) - 北緯43度38分
3. 『セミとアリ』『アリとキリギリス』『伊曽保物語』
4. ラ・フォンテーヌ(1621-1695)とシャルル・ペロー(1628-1703)・・・新旧論争、ペローは長編詩『ルイ大王の世紀』(1687)や『古代人・近代人比較論』全4卷(1688-97)を書いて近代人派の論陣を張る。
«青本叢書»の登場・・・物語の普及と拡散
17世紀末の妖精物語の流行(以下は『フランスの子供の本』私市保彦著から引用)
1690年 オーノワ夫人『イポリット物語』
1694年 ペロー『グリゼリディス』『ロバの皮』『愚かな願い事』(韻文)
1695年 レリティエ嬢『物語集』
    ペロー『眠りの森の美女』
    ベルナール嬢『イネス・ド・コルドゥー』
1697年 オーノワ夫人『妖精物語集第1巻から3巻』(「青い鳥」「白い
    猫」など)
    ラ・フォルス嬢『妖精物語のなかの妖精物語』
    ペロー『過ぎし昔の物語ならびに教訓』
1698年 オーノワ夫人『妖精物語第4巻』
    シュヴァリエ・ド・マイイ『名高い妖精』
    ミュラ夫人『妖精物語集』
    プレシャック『物語らしくない物語』
1699年 デュラン夫人『モルターヌ伯爵夫人』
    ミュラ夫人『崇高なる寓意物語集』
ペロー作『過ぎし昔の物語ならびに教訓』を童話の嚆矢とする見方
5. 教訓童話の流行と物語性の後退・・・例えば、仙女(妖精)が主人公に与える贈り物の変遷(ペローでは「天使の心」グリムでは「美徳」対してボーモン夫人では「あらゆる種類の不幸」となる)
ジャン=ジャック・ルソー(1712-1778)『エミール』(1762)小説的な構成を持つ教育論
ボーモン夫人(1711-1780) 『子供達の雑誌』(中に『美女と野獣』を収録)
ベルカン(1749-1791)『子供の友』(1782-83)
ジャンリス夫人(1746-1830)『アデールとテオドール、または教育についての書簡集』(1782)

<参考文献>
『子供の誕生』原題「アンシャン・レジーム下の子供と家庭生活」フィップ・アリエス著(杉山光信・恵美子訳)みすず書房
『教育の誕生』原題「心性史」「避妊の起源」「生と死への態度」「家族の中の子供」「教育の問題」フィップ・アリエス著(中内敏夫・森田伸子編訳)新評論
『本・子ども・大人』ポール・アザール著(矢崎源九郎・横山正矢訳)紀伊国屋書店
『フランスの子供の本』私市保彦著、白水社
『グリム童話』鈴木晶著、講談社現代新書
『ペロー童話集』朝倉朗子訳、岩波文庫
『美女と野獣』ボーモン夫人著(鈴木豊訳)角川文庫
『グリム童話集』1〜5金田鬼一訳、岩波文庫
『フランス民話集』朝倉朗子編訳、岩波文庫
『寓話』上・下 ラ・フォンテーヌ著(今野一雄訳)岩波文庫
『イソップ寓話』小堀桂一郎著、講談社学芸文庫
『鴎外選集』第1卷、岩波書店
『ファーブル昆虫記』5山田吉彦・林達夫訳、岩波文庫

ペロー童話1697年版の口絵 にはCONTES DE MA MERE(鵞鳥おばさんのお話「マザーグースィズテイルMother Goose's Tales」) と書かれている。これがイギリスで翻訳され、18世紀末から「マザーグース」という言葉と童謡・童話がはやり出したという。

 報酬は全く期待していなかったが、思いもかけぬ金額だった。それで、妻はミラーレス・カメラを買おうとしている。
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文学雑感 | 18:13:14 | Trackback(0) | Comments(0)
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