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《ハートのレストラン》と『愚者たちのコンサート』
 かつてとても人気のある喜劇俳優(あるいは落語家)がおりました。ふっくらした体を生かした巧みな演技で、とても滑稽で、毒舌は向かうところなし(お笑いショート・ショートの本を出しています)、いつも人を笑わせていました。
 ところでこの喜劇俳優は、人がみな朝、昼、晩と三食をとってなに不自由なく、当り前のように暮らしているけど、実はこれはほんのわずかの偶然の上に成り立っていることに気付きます。さまざまな理由でこんな当り前のことができない人たちが大勢いて、その犠牲の上で、僕たちがおいしい食事にありついているのだと。

resto1.jpg


 そう気付いたら、この俳優は居ても立ってもいられません。仲間に語らいます。ショーをしてその収入で、食事に不自由している人たちにせめて冬に暖かいものを食べてもらおう。そして、多くのボランティアと寄付を集めて、レストランを立ち上げ、それをずっと続けよう。

《後半に、歌と映像が楽しめるクリップ(URL)を二つ紹介しています。是非ご覧下さい》


 こうして最良、最強の仲間たちが集まりました。そのレストランは《ハートのレストラン》と名付けられました。それは1985年のことです。でもその俳優は一年後、自動車事故で不慮の死を遂げました。残された仲間たちは悲しみの中で彼の意志を引き継ぐことを誓います。
 こうして、この《ハートのレストラン》活動は二十年以上続くことになります。例えば2003年の十一月から2004年の三月までに、四万ニ千人のボランティアが六十一万人の貧しい人たちに六千百五十万食を配給しました。また寄付については、三十八万人の善意の人たちから三千万ユーロ(約四十二億円)集まりました(その規模は日本の半分の人口しかいないフランスではばかにはできません)。[注:これらの数字はフランス語教科書『ヴァリエテ・フランセーズ2005』より引用させていただきました]

Laam2.JPG

 その俳優の名は、コリュシュ Coluche と言います。そして、毎年行われているショーの名前は『ソワレ・デ・ザンフォワレ(愚者たちのコンサート)』と言います。この愚者たちとは、シャンソン、ポップス、ロック、レゲエ、ラップなどなど、さまざまなジャンルのフランスを代表するトップアーチストたちです(例えばすでに紹介したルノーはコリュシュの親友でこの活動の中心的存在です)。

Resto.JPG

coluche.JPG

 この度はコンサートのテーマ曲『レストランの歌』を紹介します。作詞・作曲は愚者たちの代表的存在、ジャン=ジャック・ゴールドマンが手掛けました。
 コンサートの最後に、「みんなを当てにしてるぞ!」という掛け声とともに、この歌は愚者たち全員によって、そして会場の観客たち全員によって歌われ、会場はいやがおうでも熱気と感動に包まれます(写真はそのフィナーレの様子)。

Finare.JPG


《次のURLをクリックして下さい。コリュシュとイヴ・モンタンが最初の語りを担当し、ジャン=ジャック・ゴールドマンが歌っています。つまり、これは最も古い1985年のヴァージョンです》
http://www.youtube.com/watch?v=xnp-wM9kzM8

《レストランの歌》

僕は、会う約束をしてるんだ
無一文になった連中とね
思想とか説教とかおべっかとか、そんなのなんかじゃない
みんなに革命達成の偉大なる夕べを
約束なんてしやしない
でもただ冬だけでも
食べ物と飲み物を提供したい
人生に失敗したり、失業したりしたすべての人たちに
お菓子が口にできない人たち、分け前から除け者にされた人たち
君たちのことを考えるのは、実を言うとエゴイストだからなんだ
きっと明日になると、僕たちは名前をぞろぞろつらねることになるだろう

今日では、飢えたり、凍えたりするなんて
許されやしないんだ
自分のことだけ考えようなんて、ぶちかませ
僕は君のことを考えると、自分のことを考える
僕は君に革命の達成を約束しやしない
でもただ食べ物と飲み物を
ほんのわずかのパンと温みを
レストランで、ハートのレストランで

昔はいつでも食卓に席をとっておいたものだった
スープも、椅子も、牛小屋の一隅も
今では人は、まぶたも扉も閉ざしたままだ
よそ様はいつでも、いつでも過食症

後ろめたいとは思わない
それだからって眠れないわけじゃない
でも要するに、少し寝覚めが悪いんだ
本当は僕のせいじゃないんだ、飢えた奴がいるからって
でも、ここでなにも変えなければ、僕のせいになるだろう

君の人生を変える答えなんて僕にはないさ
でも、なん時間か君の助けになれるなら、さあ、やろう
他にも悲惨なことは山ほどあって、リストに書こうにも書ききれない
でもここではなんとかなるさ、今、ここでは

今日では、飢えたり、凍えたりするなんて
許されやしないんだ
自分のことだけ考えようなんて、ぶちかませ
僕は君のことを考えると、自分のことを考える
僕は君に革命の達成を約束しやしない
でもただ食べ物と飲み物を
ほんのわずかのパンと温みを
レストランで、ハートのレストランで


《次のURLをクリックすると、2001年のヴァージョンを楽しめます。この時最初の語りでサッカー選手のジダンが登場します》
http://www.youtube.com/watch?v=_YYDIcj22M4
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ポップ・フランセ | 16:14:38 | Trackback(3) | Comments(0)
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