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石田明生

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2007年夏のパリ日記(7)・・・パリの下水道とパストゥール博物館
9月3日(月)
 朝,またもや4時半頃目が覚めてしまったので,テレビを見た。一日中流れていると思われるあの歌番組だ。出演した多数の歌手の中で知っている歌手は、ダヴィッド・アリデー、ファタル・バズーカ、シメーヌ・バディ、コルネイユくらいだった。コルネイユは最近日本でもCDが売り出され、知られるようになった。が、他の歌手はどうだろうか。ダヴィッドはシルヴィー・バルタンとジョニー・アリディーの息子で、現在、父・息子そろって活躍している。ファタル・バズーカは今人気絶頂のラップグループ。シメーヌは次の通りだ。

バディ.JPG
この度買ったシメーヌ・バディのアルバム「le miroir (鏡)」
アンフォワレのメンバーでもある彼女は抜群の歌唱力で人気抜群だ




 ホテルで朝食をとった(前日も書いたが5ユーロは断然安い)。ジュース、コーヒー(または紅茶)、パンとバター、ジャム、クロワッサンという伝統的な朝食だった。この度フランスに来て初めて飲んだコーヒーの美味しいこと(インスタント・コーヒーは別として)、お代わりを勧められたので,2杯も飲んでしまった。焼きたての美味しいパンはパン屋で買って食べられるが,入れたてのエスプレッソコーヒーは、個人の家での暮らしをしていてはなかなか飲めない。
 ホテルの番頭(と僕が勝手に名付けた。本当は主人だろう)は日本に行きたい。と話しかけて来た。でも日本は物価が高くてなかなか行けない、とぼやいている。東南アジアにはすでに行ったことがあるらしい。日本にも40・50ユーロくらいで泊まれるホテルはありますよ、と言うと、身を乗り出して「本当か?」と、すっかりその気に・・・
 「その代わり、部屋は狭いかも知れませんよ」
 「かまいません。安ければ」
 「本当に狭いかも、(ここみたいに、と言いかけてやめた)」
 彼は日本のホテルはすべて100ユーロ以上だと思っていたらしい。僕も東京の宿の値段はろくに知らないけれど、以前、昔風のバストイレなしの旅館で4千円くらいで泊まれるとテレビで紹介していたのを見たことがある。 
 支払いを済ませた後、このホテルを口コミで宣伝するよ,と言ったら喜んでいた(実際、4トラベルの口コミ情報に載せてやった)。
 腹一杯になったので,久々寝転がってうとうとしながらテレビを見た。テニスの試合だった。
 というのは今日の午前中は、パリの下水道見学をしようと思っているのだが、それが11時からだからだ。アルマ橋までバスで一本、10分か15分で着いてしまう。

 11時5分前くらいに到着すると,大勢(30人くらい)入り口で待っている。少し驚いた。こんなに人がいるのを想像していなかったからだ。そのうち20人ほどが一つの団体だった。英語圏の人たちだ。
 4.10ユーロを支払って,階段を下りた。噂には聞いていたが、パリの下水の凄さを確認した。

下水道.JPG
下水道を地図を見ながら歩く。

動物たち.JPG
下水道に隠れている動物たち、一瞬本物かと思うが、もちろん剥製

人形.JPG
仕事をしている様子、もちろん人形

機械の展示品.JPG
広い下水道(ギャラリーと呼ばれる)にはさまざまな展示品がある

玉.JPG
大小様々な玉がある、写真のは大きい方。これは木製で、下水管をゴミとともに通す。

テレビ.JPG
最後に資料室兼ビデオルームとなっている。
ビデオでは、道路の排気口に「鍵」を落とした場合のレスキュー隊のやり方や、
膨大な汚水が、金属、プラスチックが取り除かれ、
最終的にパリ南西の処理場で腐葉土になるまでの過程を説明している。


 下水道見学の所要時間は約1時間半くらいだった。
 昼食は公園でパテのサンドウィッチを食べた。これはものすごくうまい。パテがたっぷりと入っていて,ピクルスが味にアクセントを与えている。
 午後はメールのチェックをしてから,パストゥール研究所を見学する予定になっている。メールを開けたら,妻からのメッセージ。「ピアフ博物館」に行けとのこと。博物館はメトロ駅「メニルモンタン」近くなので,帰りに寄ることにする。
 さて,パストゥール博物館だが,ガイド付きで3ユーロだった。その解説が英語だったのであまりわからなかったが,パンフレットを頼りになんとか・・・

パストゥール研究所.JPG
パストゥール博物館

内部.JPG
館内・・・彼の住まいは撮影禁止だった。


 彼は,1822年に生まれて1895年に没した。ということはフロベールとほぼ同い年ということになる。モーパッサンの小説『脂肪の塊』の中で,革命家の男がうまそうにビールを飲むシーンがある。あのビールはパストゥリゼ(低温殺菌・・・パストゥール化と呼ばれる)されていたものなのだろうか。パストゥールの業績を見ると,発酵に関する研究は1848年頃からとりかかっている。小説の設定は普仏戦争(1870)の時だから,パストゥリザシオン(低温殺菌法)のビールを飲んでいると思う方が自然だろう。つまり、そのころから、すぐに変質する生ビールではなく、パストゥールの開発した低温殺菌法のビールが飲まれ始めた、ということになる。『脂肪の塊』の舞台はノルマンディーだ。もし、パストゥールがいなかったならば、革命家のコルニュデはビールを飲むことができなかったということになる。
 ガイドのおばさんは、見学者の職業を訊いていたが,僕がフランス文学が専門で特に19世紀、モーパッサンに関心がある,と言うとひどくうれしそうな顔をして,「私も文学好きなんです」と、さかんにモリエール、ラシーヌ、とくにコルネイユ(17世紀の劇作家たち)が大好きだと言っていた。どうやら,古典劇がお気に入りのようで、パストゥールの時代・19世紀の劇には関心がないらしい(当然か)。
 パストゥールの墓は博物館のある建物の地下に安置されていた。つまり彼の元の住まい(現在の博物館)の地下にあるということになる。ガイドも言っていたが、きわめて異例のことらしい。立派な棺だったが、撮影禁止だったので、写真がない。
 帰りに,ピアフ博物館に寄ったが,電話予約しないとダメらしい。どうしたらいいのか。というのは、恥ずかしい話だが、テレフォン・カードを買っていないので電話が使えないのだ。
 このまま滞在先に帰っても、早すぎるので、バスで「ポルト・デ・リラ」まで行き、そこからメトロで一駅分歩いて戻ることにした。「ポルト・デ・リラ」は日本語で「リラの門」という。つまりルネ・クレール監督の傑作映画『リラの門』の舞台となったところだ(詳しくはブログ「猫のいる映画館」をご覧下さい)。主役はあの『天井桟敷』の準主役のフレデリック・ルメートル役を演じたピエール・ブラッスール。彼はみじめなその日暮らしのぐうたら男を演じ、その友達の芸術家という役どころで、ジョルジュ・ブラッサンスが出演し、歌を披露している。「リラの門」という語感(リラとは英語でライラックのこと)とは裏腹に、「リラの門」とは、パリの最低の生活空間を指す。海抜は高いが、下町中の下町なのだ。
 実際、バスを降りるとバスターミナルにいきなり横たわったホームレスが目に入る。それも3人ほど。これは聞きしに勝るところだ、と内心思う。が、逆を言えば、彼らがなんとか生きて行けるところでもあるのだ。映画『リラの門』を流れる下町の人情がまだ生きているのかもしれない。
 ここから滞在先の最寄り駅「テレグラフ」には、ベルヴィル通りをまっすぐ行けばいい。
 すると、今日から新学期が始まったのだろう、小学生の下校風景に遭遇した。そういえば時刻はちょうど夕方の5時頃だ。日本と違って、昼休みが長いせいか、下校時間は大体5時から6時頃となる。

下校風景.JPG
下校風景、今年はキャリーバッグが増えたようだ。
日本の小学生の「ランドセル」という頑な一律性はいつなくなるのだろうか。
第一、なくなるのだろうか。

 下級生は親と同伴が普通だ。子供たちの登下校風景とともに、ヴァカンスの終わりが告げられ、秋となる。
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パリ旅行記(2007年) | 16:25:50 | Trackback(0) | Comments(2)
コメント
下水道博物館、面白そうですね。実は、今度パリに行く機会があったら
見学したいと目をつけていたところでもあります。

ユゴーの『レ・ミゼラブル』とかを思わせる写真ですねw
2007-09-20 木 22:12:49 | URL | titanx2 [編集]
titanx2 さん、そのとおりです。まさに、ジャン・バルジャンの世界です。実際、その説明もあります。小説の守備範囲は広いものですね。あらゆるジャンルに渡ります。
2007-09-21 金 21:39:35 | URL | [編集]
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